研究概要 |
本研究は原発巣の検査にて、原発巣における転移性癌細胞の有無と転移成立か否かを正確・低価格・簡便に検出するシステムの開発を目的とする。 高転移性舌癌細胞をヌードマウスの舌に同所性移植し、移植後3日、12日、21日、35日、50日での頸部リンパ節転移のstageを確認した。移植後12日は初期転移、21日、35日では中期の転移と判定した。移植後50日においても節外浸潤は認められず、移植マウスは約50日前後で死亡しするため、このモデル系では非転移・転移初期および中期の3つのstageを診断することができた。 高転移性癌細胞あるいは非転移性癌細胞を移植した舌における腫瘍組織のmRNA・タンパク質を抽出し、DNAチップ(54675遺伝子)・二次元電気泳動法・質量分析法(iTRAQ法・LC-MS/MS解析)にて解析後、われわれが開発したアルゴリズムによって両データを融合させ分子ネットワーク解析を行い、亢進しているシグナルネットワークを検出した。転移状態の高転移性癌細胞に、MIFがインシュリンレセプターシグナル・AKTシグナルやMAPキナーゼを介しHIF(Hypoxia-inducible Factor)シグナル系に、ErbB2, IQGAPがRac, PI3Kを介してHIFシグナル系に、Nago, C9がc-Ablを介してHIFシグナル系につながり、またG2, HO-2, DnaPK, PGK1, Cytokeratin 8,18,19, Cathepsin D(HIFシグナルの下流分子)など多くのHIF関連分子が同定された。転移初期および転移中期間のシグナルネットワークの相違は、転移の時期が進行すると、上記シグナルネットワークの亢進およびプロテインX(非公開)を中心としたネットワークの亢進を検出した。
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