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2011 年度 実施状況報告書

融合プロテオミクスと組織像の統合解析による転移性口腔癌検出システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23659882
研究機関熊本大学

研究代表者

ウィルソン森藤 政代  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 産学官連携研究員 (90271113)

研究分担者 荒木 令江  熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (80253722)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード癌 / 転移 / マイクロアレイ / プロテオミクス / シグナル伝達 / シグナルネットワーク / 転移性癌細胞マーカー
研究概要

本研究は原発巣の検査にて、原発巣における転移性癌細胞の有無と転移成立か否かを正確・低価格・簡便に検出するシステムの開発を目的とする。 高転移性舌癌細胞をヌードマウスの舌に同所性移植し、移植後3日、12日、21日、35日、50日での頸部リンパ節転移のstageを確認した。移植後12日は初期転移、21日、35日では中期の転移と判定した。移植後50日においても節外浸潤は認められず、移植マウスは約50日前後で死亡しするため、このモデル系では非転移・転移初期および中期の3つのstageを診断することができた。 高転移性癌細胞あるいは非転移性癌細胞を移植した舌における腫瘍組織のmRNA・タンパク質を抽出し、DNAチップ(54675遺伝子)・二次元電気泳動法・質量分析法(iTRAQ法・LC-MS/MS解析)にて解析後、われわれが開発したアルゴリズムによって両データを融合させ分子ネットワーク解析を行い、亢進しているシグナルネットワークを検出した。転移状態の高転移性癌細胞に、MIFがインシュリンレセプターシグナル・AKTシグナルやMAPキナーゼを介しHIF(Hypoxia-inducible Factor)シグナル系に、ErbB2, IQGAPがRac, PI3Kを介してHIFシグナル系に、Nago, C9がc-Ablを介してHIFシグナル系につながり、またG2, HO-2, DnaPK, PGK1, Cytokeratin 8,18,19, Cathepsin D(HIFシグナルの下流分子)など多くのHIF関連分子が同定された。転移初期および転移中期間のシグナルネットワークの相違は、転移の時期が進行すると、上記シグナルネットワークの亢進およびプロテインX(非公開)を中心としたネットワークの亢進を検出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、原発巣の検査にて、原発巣における転移性癌細胞の有無と転移成立か否かを正確・低価格・簡便に検出するシステムの開発を目的とし、23年度では高転移性癌細胞をヌードマウスの舌に同所性移植し、経的観察にて転移のstageを確認をすること、さらに各stageにおける高転移性癌細胞あるいは非転移際癌細胞を移植した舌での腫瘍組織のmRNA・タンパク質を抽出し、タンパク質とmRNAの発現を網羅的に解析し、転移性癌細胞に亢進するシグナルネットワークの同定と転移各stageを診断できるシグナルネットワークの同定を行う予定だったので、これらの解析はほぼ終了していることより、達成度を(2)と判断した。

今後の研究の推進方策

<未転移時・転移の各stage(初期・中期)における転移性癌細胞マーカーの同定> RFPでラベルした非転移性癌細胞株とGFPでラベルした高転移性癌細胞株を混和したヘテロな癌細胞集団を、ヌードマウスに同所性移植し、臨床検体類似モデルを作製する。このモデル系の舌腫瘍組織において、23年度の研究にて同定した分子シグナルネットワーク上で高発現のタンパク質の発現を検討し、高転移性癌細胞(GFP発色)に発現し、非転移性癌細胞(RFP発色)で発現していない分子を選定し、転移性癌細胞マーカーを同定する。<動物実験モデルの舌組織において、転移性癌細胞と非転移性癌細胞の局在と動態・血管とリンパ管数、ならびに転移の有無・転移の各stageとの関係の検討ならびに検出システムの確立> 上記動物モデル系を用い、高転移性癌細胞と非転移性癌細胞を混和したヘテロな細胞集団を移植した舌の腫瘍組織において、GFPおよびRFPの発現ならびに上記解析にて同定した転移性癌細胞マーカー分子の発現を検討することにより、高転移性癌細胞(GPPを発色細胞)と非転移性癌細胞(RFP発色細胞)の局在様式を明らかにする。さらに、腫瘍内と腫瘍周辺の血管とリンパ管の数ならびに転移性癌細胞と非転移性癌細胞の局在と血管・リンパ管の局在の関係を明らかにする。頸部リンパ節の転移を調べ、これらの解析結果より、各細胞・血管・リンパ管の局在ならびに血管やリンパ管数と転移の有無・転移の各stepとの関係を明らかにし、転移性癌細胞の検出と転移の有無・転移の各stageを検出するシステムを考案する。

次年度の研究費の使用計画

抗体・遺伝子操作関連品(SiRNA・遺伝子発現)・タンパク質解析試薬(ウェスタン・免疫染色)・ヌードマウス・マウス床・餌・培養器具・培養液・血清・チューブ・チップ・プレート等の消耗品および外国語論文校閲、研究成果投稿費に使用予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Molecular mechanism of the development of metastatic human tongue cancer cells via HIF-1alpha2011

    • 著者名/発表者名
      森藤 政代
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市、名古屋国際会議場
    • 年月日
      2011年10月3日

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公開日: 2013-07-10  

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