研究課題/領域番号 |
23659883
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
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研究分担者 |
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌 / 骨転移 / 前転移ニッチ |
研究概要 |
癌の骨への選択的転移メカニズムの1つとして、癌細胞と骨髄微小環境との相互作用が重要であることが示唆されている。本研究課題では、近年提唱された「前転移ニッチ(pre-metastatic niche)」の概念をもとに、転移成立以前の骨微小環境の変化が骨転移を促進するとの仮説を立て、担癌状態における骨髄の構成変化を検討することにより、癌の骨への選択的転移メカニズムを解明することを目的としている。初年度は、担癌状態における骨髄細胞の経時的構成変化、増加の見られた骨髄細胞画分の分離、および同画分のin vivoでの局在についての解析を行った。 1. 担癌状態における骨髄細胞の構成変化:我々は予備検討において、癌細胞皮下移植モデルマウスの骨髄においてGr-1+/CD11b+細胞が著明に増加することを見出していることから、腫瘍増殖と骨髄内でのGr-1+/CD11b+細胞の構成変化について、フローサイトメーターを用い経時的な観察を行った。その結果、腫瘍増殖と比例してGr-1+/CD11b+細胞の割合が増加することが示され、担癌状態の関与が強く示唆された。 2. 骨髄Gr-1+/CD11b+細胞画分の分離:1で増加が確認されたGr-1+/CD11b+細胞画分を以降のin vitroおよびin vivo実験で用いるため、Fluorescence-Activated Cell Sorter (FACS)による分離を試み、成功した。 3. Gr-1+/CD11b+細胞のin vivo局在:担癌状態の骨髄内での著明な増加が確認されたGr-1+/CD11b+細胞のin vivoでの局在を免疫組織化学的に検討した。その結果、皮下移植腫瘍や担癌マウスの脾臓内でも局在が確認され、また、増加していることが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って実験を行い、計画の目標はほぼ達成されたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度に得られた研究結果もとに、当初の研究経過に従い、「骨髄細胞の構成変化と骨転移形成との関連」についてin vivoでの検証を行う。具体的には、あらかじめ癌細胞を原発部位に移植したマウスに、骨転移モデルを応用し、原発腫瘍の骨転移成立・進展に対する影響について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、当初計画していたより、実験に用いる動物数が少なく済んだため、繰越金が生じた。本年度は、動物実験が中心になるため、より充実した数の動物実験を行うために充当する予定である。その他の予算は、細胞の分離、培養、調整、解析に必要な細胞培養関連用品・試薬、分子細胞生物学実験試薬の購入に当てる予定である。
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