研究課題/領域番号 |
23659885
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
長谷川 克也 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 開発員 (30425780)
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研究分担者 |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30161714)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 高速X線 / 3次元映像 / 非侵襲・非拘束 / 重力生体反応 |
研究概要 |
超高速X線デュアルビーム撮影装置を作成しマウスを用いて撮影し映像による3次元解析を行った。実験では通常重力下での機材の実証実験ののみではなく、重力をパラメータとしてマウスの生体反応と行動の変化を観察している。重力パラメータの実験は、遠心加速器による高重力下での行動と、航空機を用いた低重力下での反応を観察するため、今回製作したX線装置を重力可変状況に搭載し撮影したのち映像解析を行った。今回航空機に高速度X線撮影装置を搭載し、世界で初めて重力変化に対する骨や筋肉の過渡現象と心臓や横隔膜の透過映像による非侵襲非拘束状態での基礎バイタルデータの取得を行った。 これにより従来の可視光観察により得られた知見を補強することができたほか、心拍、呼吸数、骨の角度などの定量計測が可能となり重力変化に対する生体計測データの著しい向上が可能となった。しかしながら、X線映像は透過映像であり映像が2次元化してしまうため奥行に対する情報が欠落するため、生体の姿勢変化が起こった際に角度情報に誤差が発生する問題があった。また、一方向からの撮影では観察対象となる心臓や横隔膜が他の対象と重なったり運動が観察できない方向で撮影されたりするため情報が不足していた。 また、各X線源の照射方向と視差のない同軸の可視光映像を撮影することで、可視光による観察とX線による透過映像の観察データを互いに補完することで重力変化に対する生体反応の理解を深めることを可能とした。 この研究成果の一部は宇宙生物科学会、可視化情報学会、ASGSB、ESA/ISGPなど国内外の学会等で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初から予定されていた高速デュアルビームX線映像による3次元映像解析に加え、新規に今回の可視光映像と透過映像を視差のない同軸上で撮影する装置を開発したことで、可視光映像上に生体の透過映像をオーバーレイ表示させた状態で生体観察を可能にする映像解析技術を開発した。この映像解析技術により従来の予定ではX線透過映像である筋肉と骨の反応のみの観察だったが、この技術により可視光映像とX線透過映像を視差なく時間を同期した状態で同時に観察することが可能となり、生体反応と透過映像の解析上の関連付けが容易になり、今後の生体反応の解析データの質の向上が期待できる。 また、透過映像を解析することにより非拘束非侵襲のバイタルデータを得ることが可能となった。特に呼吸の解析は単に呼吸数のみではなく横隔膜の移動量や速度などのデータを得ることができるなど、これまでにない生体のストレス反応と呼吸の速度や安定性などの解析が可能となった。今後装置の改良を行い2方向のX線映像を鮮明にすることでより良いデータの取得が可能となることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
X線デュアルビーム撮影装置を開発したことで3次元映像解析が可能となったが、今後はハードウエアとソフトウエアの改良を行いさらに2方向のX線映像を鮮明にすることでより良いデータの取得を目的とする。実験のデータ数を増やすことで前臨床試験と診断精度の評価を行い、診断基準のを確立を目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は研究の成果を国内外で積極的に発表することを主体にするとともに、実験数を増やしデータを充実させ診断精度と診断基準の確立を得るために研究費を使用する。
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