高速デュアルビームX線映像による3次元映像解析を完成させたことに加え、新規に今回の可視光映像と透過映像を視差のない同軸上で撮影する装置を開発したことで、可視光映像上に生体の透過映像をオーバーレイ表示させた状態で生体観察を可能にする映像解析技術を開発した。この映像解析技術により従来の予定ではX線透過映像である筋肉と骨の反応のみの観察だったが、この技術によりFig.1示すように可視光映像とX線透過映像を視差なく時間を同期した状態で同時に観察することが可能となり、生体反応と透過映像の解析上の関連付けが容易になり、今後の生体反応の解析データの質の向上が可能となった。 また、本研究により開発されたX線装置では透過映像を解析することにより非拘束非侵襲のバイタルデータを得ることが可能となった。特に呼吸の解析は単に呼吸数のみではなく横隔膜の移動量や速度などのデータを得ることができるなど、これまでにない生体のストレス反応と呼吸の速度や安定性などの解析が可能となった。 本研究により開発した技術をもとに設計した高機能のX線映像撮影装置を東京医科歯科大学に設置した。その装置は本研究の主目的である歯科放射線診断学だけではなく様々な放射線映像解析を可能にし、その実力は国内のみならず海外の研究機関からも注目され今後多くの放射線映像を用いた医歯学の基礎解析に役立てることが期待される。
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