本研究の目的は、歯質接着性モノマーをI型コラーゲンに作用させ、その石灰化を調査することにある。10MDPエタノール溶液ならびに10MDPを含有するセルフエッチングプライマーをブタ由来のI型コラーゲンスポンジに作用させた。作用期間1日間または10日間とし、pH5-5.5ならびにpH8-8.5の条件で、コントロール群を含めて石灰化溶液に作用させた。石灰化溶液に浸漬した後、沈着物のICP-AESによる定量分析と、XRDによる定性分析を行った。また、コラーゲンの石灰化物の形態をTEMにより観察した。結果、I型コラーゲンにMDPを作用させたところ、MDPがカルシウムを吸着することによってアモルファスな塩が沈着し、pH条件の違いによってDCPDやハイドロキシアパタイトに転化するものと考えられた。
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