研究課題/領域番号 |
23659887
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
興地 隆史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80204098)
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研究分担者 |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30220718)
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10323974)
金子 友厚 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70345297)
重谷 佳見 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80397132)
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キーワード | 歯学 / 歯根膜 / 歯根吸収 / 免疫組織化学 / マクロファージ / アンキローシス |
研究概要 |
置換性歯根外部吸収は歯の再植・移植術後の重篤な継発症と位置づけられているが、この病態の発症機序は言うに及ばず歯根膜の創傷治癒機構自体についても細胞・分子レベルの知見は限られている。そこで本研究ではラット臼歯をさまざまな条件で再植したのち、歯髄や歯根膜の病態と治癒過程をマクロファージ、硬組織基質タンパクあるいは幹細胞マーカー発現細胞に着目して免疫組織化学的・分子生物学的に追究 することで、置換性歯根外部吸収誘発時の変化について分子・遺伝子レベルで解析を試みた。 (1) ankylosisが誘発される条件の検討:5週齢のWistar系雄性ラットの上顎左側第一臼歯を即時再植あるいは次亜塩素酸ナトリウムによる歯根膜の溶解除去という条件で再植し、1から3週経過後の歯髄、歯根膜の病態を組織学的に観察した。その結果、ankylosis,歯髄腔内の骨様組織形成とも、次亜塩素酸ナトリウム液処理後再植した場合に高頻度に観察されたことから、歯根膜細胞の高度の損傷がこれらの病態形成の誘引となることが示唆された。 (2) 再植後の歯髄、歯根膜治癒経過の免疫組織化学的・分子生物学的検討:上記の方法でラット第一臼歯を再植後、CD68陽性マクロファージの動態を免疫組織化学的に観察した。その結果、術後1週より早期より歯髄、歯根膜に著明なマクロファージの浸潤がみられること、および次亜塩素酸ナトリウム液処理群でマクロファージ浸潤が著明な傾向を示すことが観察された。さらに正常なラット臼歯を用いて、各種幹細胞マーカー(CD146, MAP1Bなど)陽性細胞やosteopontinなどの硬組織基質タンパクの免疫組織化学的観察を行うとともに、リアルタイムPCRによる幹細胞マーカーmRNA発現の定量解析についても検出条件を確立させた。今後はこれらの分子の再植後の挙動について検討を加える予定である。
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