ジルコニア製の歯科補綴物は完全焼結材をダイヤモンドバーで切削するか、未焼結材を切削加工して再焼成して製作される。しかし加工時の工具の磨耗やチッピング、再焼結時の収縮などの問題点がある。本研究では、ナノ秒レーザとフェムト秒レーザを組み合わせて完全焼結ジルコニア材の3D高速レーザ加工を試み、これに基づく「セラミッククラウンのデジタルプロセス」の確立を目指した。また完成した補綴物の支台への接着について表面性状の点から考察を加える事で最終補綴物の予後に影響する因子についても検討した。「ジルコニア完全焼結材のナノ秒レーザ加工」の最適条件に関する検討について、ジルコニア完全焼結材表面の微小方形域の加工を例として、ナノ秒レーザ加工の繰返し周波数、加工スポットサイズおよびオーバーラップに関する最適条件を検討。とくに、高速加工を実現する条件を検討した。「ジルコニア完全焼結材のフェムト秒レーザ加工」の最適条件に関する検討について、ジルコニア完全焼結材表面の微小方形域の加工を例として、フェムト秒レーザ加工の繰返し周波数、加工スポットサイズおよびオーバーラップに関する最適条件を検討、製品表面のクラックが生じない加工条件を検討した。3Dモデルを用いたジルコニア製クラウンの3Dレーザ加工について、ジルコニア完全焼結材からクラウン形状を3Dレーザ加工した。今回レーザ加工により得られる表面性状への接着強さを検討するため、異なる条件を選定し、通法に従った手技により接着を行い、圧縮せん断試験により評価を行い、良好な結果が得られた。象牙質を用い、歯髄腔内に超小型光ファイバー圧力・温度センサーを挿入し、外側より2種類のレーザー照射を行い髄腔内への影響を調べた。その結果から、温度上昇などの変化が認められず無痛治療への応用は可能と考えられたが、実験方法等について更なる検討が必要であり、今後の課題が残された。
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