研究課題/領域番号 |
23659901
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
市川 哲雄 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90193432)
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研究分担者 |
本釜 聖子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60380078)
石田 雄一 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90403708)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 義歯製作 / デジタル印象採得・咬合採得 |
研究概要 |
本研究は、無歯顎における全部床義歯治療のデジタル技術の導入を目指したもので、接触式3次元形状記録とフォトグラメトリ(デジタル写真測量)技術を融合した新しい全部床義歯およびインプラントオーバーデンチャーの印象採得法,咬合採得法を開発し、全部床義歯治療およびインプラントオーバーデンチャーの製作過程を部分的にデジタル化しようとするものである。本年度はポータブルなアーム型三次元形状測定器(Microscribe G2X5 、Revware社)を用いて、無歯顎顎堤をトレースし、また、床縁設定位置、咬合床製作のためのランドマークを座標入力し、考案した無歯顎の印象採得、咬合採得を部分的にデジタル化するシステムの基本的特性について検討を行った。既知半径のセラミック球面体を本アーム型三次元形状測定器でトレースし、最小二乗法によってその精度検定を行ったところ、満足すべき精度でトレースできることが示された。さらに、ファントム無歯顎模型を本システムでトレースしデジタル形状を作成、画像処理ソフト(Rhinoceros 3.0、Appli Craft社)でスプライン補間、スムージングを行ったあと、本システム用に考案した咬合圧印象用のトレーをCADシステム(Sensable dental lab system、DDLS-SD-1豊通マシナリー社)を用いて設計し、ラピッドプロトタイピング(Sensable dental lab system、DDLS-SP-1豊通マシナリー社)で、プリントアウトするシステムの構成を開発した。 次年度は、本年度考案したシステムの適合度を実際の臨床で検討するとともに、フォトグラメトリ技術を融合したインプラントオーバーデンチャーの印象法にも展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の活動は,今までの研究実績のまとめと無歯顎におけるデジタル化についての調査を主体に行った。つまり、これまでに考案した全部床義歯治療におけるデジタル化システムが本当に画期的で新しいものかの再確認と、実現可能かの基本的事項についての実験を行い、その有効性について再確認し,報告した。 実験計画ある研究遂行に最も必要であったソフトウェア購入がハード面の整備との関連から遅れたため、そのソフトウェアを用いた研究部分の推進が連動して遅れ,研究全体の達成度は(3)という「やや遅れている」と判定した。あわせて研究費の執行もその分の消耗品費(19万余円)の使用が平成24年度へ移行した。平成24年度には,この経費を用いてデジタル印象の対象である模型やトレース用のプローベおよび大容量データストレージを購入し、スタイラスペンによるデジタル印象に関するシステムの構築、精度検定に関する研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
印象採得のデジタル化に相当する顎堤形状の推定と咬合採得の一部デジタル化に相当する顎堤・顔貌基準点の3次元座標測定について、現在のアーム型三次元形状測定器と並行に磁気位相空間計測方式のポヒマスのパトリオットシステムも検討する。推定した顎堤形状が適切かどうかをATOSと人間の視覚によるVAS法を用いて評価し、最適トレース条件を決定する。 さらに、トレースしたデジタルデータによる最適なスプライン補間、スムージングを決定するとともに、本システム用に考案した咬合圧印象用のトレーの最適形状を購入したCADシステム(Sensable dental lab system、DDLS-SD-1豊通マシナリー社)を用いて検討するとともに、臨床評価をする。 インプラントオーバーデンチャーに応用するためフォトグラメトリ(デジタル写真測量)技術についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度はソフトウェア購入がハード面の整備との関連から遅れたため、関連する消耗品費(199,662円)が繰越となった。平成24年度には,この経費を用いてデジタル印象の対象である模型やトレース用のプローベおよび大容量データストレージを購入し、スタイラスペンによるデジタル印象に関するシステムの構築、精度検定に関する研究を進めていく。 24年度に請求する研究費は3次元座標測定のためのポヒマスの磁気位相空間計測方式パトリオットシステムの購入費、データベース構築の大容量データストレージ,分析用のソフトウェア購入費に充てるとともに,情報収集、研究成果発表用の旅費、実験補助等の謝金に使用する予定である。
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