研究課題/領域番号 |
23659902
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
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研究分担者 |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 骨再生 / テーラーメイド医療 / ティッシュエンジニアリング / 補綴前処置 |
研究概要 |
補綴領域における治療は、歯槽骨・顎骨の状態によってその成否が大きく影響される。そのため、補綴前処置としての骨の修正や増生は大変身近なものとなって来ており、さらに近年、より患者の負担が少ない方法が多方面より模索されてきている。しかし、例えば骨を移植する、骨誘導能を有する物質を投与する、足場物質としてリン酸カルシウム系製剤やコラーゲンを利用するなどのモダリティーは広く研究されているが、これらの考え方に根拠はあるのだろうか?年齢、性別、局所の状態や必要とする骨の量や形態、質などは異なってしかるべきだが、これらの要素を念頭に置いた研究は皆無である。本研究では、テーラーメイド医療の概念をこの領域に導入し、どのような骨へのアプローチが必要かについて模索するのを目的とする。本年度は、まず実験1として、臨床における骨再生を要する状況のモデル化を行った。すなわち、1.抜歯後長期間経過した歯槽骨上の骨膜の細胞、2. インプラント治療における、いわゆるタイプ I の骨、3. 嚢胞摘出後の骨をモデル化するため、頭蓋骨を用いて、それぞれi.頭蓋骨を被覆する骨膜、ii.頭蓋骨(ラット頭蓋骨には骨髄腔がほとんどない)、iii.頭蓋骨に形成したクリティカルサイズディフェクトが上記の1-3と対応するかについて組織学的検討を行った.その結果、1-3はi-iiiとしてモデル化可能な組織学的類似性を有していることが示唆された。次に、実験2として各モデルにおいて必要な要素の適用による骨形成実験に着手した。具体的には、分化度合いが低い状態の未分化間葉細胞にBMP-2あるいはスタチンを投与することにより分化を促進させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定においては、平成23年度は実験1と実験2を行い、実験2の一部においては平成24年度も継続して行うこととしていた。実験1においてへ、当初のモデル設定に老齢動物、あるいは老化促進動物を行うこととし、老齢動物を用いて実験を行っていたが、詳細な組織学的検討までには至らなかった。実験2においては、細胞増殖因子、細胞分化因子、血管誘導因子、スキャッフォールドを用いて実験を行うことにしていたが、細胞分化因子を用いた実験以外は、報告可能なデータが出るほどの蓄積を行うことが出来なかった。このように、達成できたところ、できなかったことが混在しているものの、ある程度の達成は果たすことができたため、自己評価を「(2)おおむね順調に伸展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては、当初計画通り上記の実験2を継続して行う。また、実験3:種々の状況に置ける骨再生メカニズムの検討としてPCR Array 法を用いて、骨形成/吸収に関わる遺伝子の発現、あるいはターゲットとした因子の発現(例えば増殖因子を投与した場合、増殖に係わる遺伝子が生体内・局所で実際に促進されているか)を網羅的に検討することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度と24年度にまたがって行う実験(実験2)の進捗状況により、160000円余りの23年度使用予定研究費を24年度に繰り越した。この繰越金は、予定通り実験2の継続のために使用する予定である。それ以外の資金については、薬品、実験動物等の消耗品費として700000円、旅費として300000円(研究者2名がそれぞれ国内出張2回を予定している)、大学院生一名を雇用する謝金として100000円、その他、論文投稿に係る費用として100000円を充当予定である。
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