研究課題/領域番号 |
23659903
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
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研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | インプラント / オーバーロード / 骨吸収 / 応力 |
研究概要 |
本研究は、応力に伴うインプラント周囲骨の吸収について、破骨細胞の分布状況を組織学的に検討することにより、インプラント周囲骨が骨-インプラント界面と周囲骨外側のいずれから吸収されているかに関する情報を収集することを目的とした。また、有限要素法を用いて、インプラント周囲骨に作用する応力分布を実際の組織、マイクロCTデータを利用して構築したモデルにてあわせて検討することとした。さらに応力と破骨細胞の分布の関連について検討し、力学的に適切な、つまりインプラント周囲骨が吸収しにくいインプラント形態を提案することを最終的な目的としている。今年度は実験1:インプラント周囲骨における破骨細胞の分布の検討として、インプラントのスレッド周囲における新生骨基質の分布について検討した。具体的には、6週齢ラット脛骨にチタン製スクリュー型インプラント(一種類)を埋入し、4週間の治癒期間を経た後に静的側方応力を作用させた(今年度はコントロールとして、応力作用を行っていない群のみ実験を施行した)。その結果、インプラントのスレッド頂周囲には新生骨基質が観られないことが多く、これは応力が集中した結果生じた現象であることが示唆された。一方、実験2:インプラント周囲骨の応力分布に関する有限要素法的検討としてコンピューターシミュレーションを用いた力学的検討を行った。今年度はまず、今年度動物実験を行ったスクリューのデザインに関し、応力解析を行った。その結果、スレッドタイプのインプラントにおいては、スレッド頂上部周囲の骨内には、それ以外の箇所と比較してより高い応力集中が観察され、動物実験の組織学的所見を裏付ける結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度においては、実験1:インプラント周囲骨における破骨細胞の分布の検討として、組織学的の破骨細胞がインプラントのスレッド形状のどこにどのように分布しているかについて検討する予定であった。しかし、23年度には、骨基質の分布や形態学的な検討は行えたが、破骨細胞の具体的な分布を把握するには至らなかった。実験2:インプラント周囲骨の応力分布に関する有限要素法的検討においては、実際の応力分布のシミュレーション解析は行うことができた。このように、、達成できたところ、できなかったことが混在しているものの、さらに一層のデータ蓄積を果たすべきであったと考え、自己評価を「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年においては、23年度に達成できなかった実験1,実験2の内容を追加で行う。また、当初平成24年度に行う予定であった実験(実験3:インプラント周囲骨の応力分布と破骨細胞の分布の関連、実験4:適切なスレッド形態を有するインプラント周囲骨における破骨細胞の分布の検討)は予定通り行う。具体的には、実験3では実験2の有限要素法モデルにおいて、スレッド形状を種々に変化させ、その結果骨内応力値がどのように変化するかを検討する。前年度の実験で、「どのような応力が破骨細胞の分布にどのような影響を与えているか」が明らかになっているため、破骨細胞が分布しにくい応力分布になるようなスレッド形状について検討する。実験4では、実験3でモデル化したチタンインプラントを試作し、ラット顎骨に埋入し、実験1と同様の実験を行う。それにより、有限要素法モデルにより作成したインプラントのスレッド形状が、実際に効果的に応力を分散し、インプラント周囲骨の破骨細胞分布に影響を与えているかについて確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、23年度に達成できなかった実験1,実験2の内容を追加で行う。これに必要な経費は23年度から繰り越した経費(153,667円)にて充当予定である。また、当初平成24年度に行う予定であった実験(実験3:インプラント周囲骨の応力分布と破骨細胞の分布の関連、実験4:適切なスレッド形態を有するインプラント周囲骨における破骨細胞の分布の検討)は予定通り行う。これらを遂行するために必要な経費として、物品費を700,000円および謝金として100,000円を計上している。また、研究結果の発表や情報収集のため、旅費を400,000円(研究者2名の国内学会出張費と大学院生の情報収集のための派遣費と考えている)を計上している。
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