研究課題
【目的】現在、より生体条件に近い3次元培養法と同時に3次元細胞支持体は体積が増すほど培地循環が不足するので動力学的要素が必要になっている。我々は力学的刺激として最も単純明快な重力の応用、すなわち細胞接着平面を180度反転し細胞側から重力を作用させる装置(反重力装置と呼ぶ)を開発した。本研究は各種の細胞を用いての反重力の効果の実証を目的とする。【実験方法】反重力装置とは、細胞を市販培養皿に播種し定着後、本装置内に導入し通常の正重力方向とそれを反転した反重力方向とに配置して培養できる装置である。さらに回転能力もあり培地を還流できる。その結果、平板培養皿以外に各種の3次元細胞支持体に対応できる。本研究では骨原細胞MC3T3-E1、がん細胞MG63、さらにマウスES細胞を用いて、正重力と反重力下で比較すると共に、3次元細胞支持体として、チタンウエブ(線径50ミクロンのチタン微細線維から成る立体的なチタン不織布、以下TWと略す)を本装置に導入して1/4反復回転させ、静置状態と比較した。【反重力効果の発見とその重要性】反重力培養したMC3T3-E1は、アクチンおよびコラーゲンのRNA量はが、正重力下よりも数倍以上に増加した。MG63でも同様であった。ES細胞では播種1週間後既に、反重力下では正重力下よりもコラーゲン合成が増大した。一般に反重力の効果は分化を促進すると考えられる。一方、TW内のMC3T3-E1は、1/4反復回転重力下では、コラーゲン産生量が静止状態に比べて3倍以上に上昇した。この機構を追求するため、TWと蛋白との反応を追求した結果、骨のリン酸蛋白が一般にチタンと結合するという極めて顕著な現象を見出した。のみならず骨のチタン結合蛋白をコートしたTWは、非コート対照の100倍以上の初期骨形成をもたらした。以上の結果は何故チタンが生きた骨に結合するかの謎に解答を与えている。
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