研究課題/領域番号 |
23659912
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
各務 秀明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80242866)
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研究分担者 |
加藤 竜司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50377884)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / トランスレーショナルリサーチ / 再生医学 / 情報工学 |
研究概要 |
再生医療の実用化には、治療効果のみでなく目的とする細胞が培養されたかどうか、あるいは治療効果を持つ細胞へと分化させたことの確認など細胞の品質管理が重要となる。しかしながら、品質管理を中心とした実用化支援技術の開発は遅れている.これまでの研究から、細胞の形態は種類によって異なり、また分化誘導によって変化することが示唆されている。熟練者は経験的に細胞の形態から状態を判断しているが、明確な数値基準などは示されていない。本研究の目的は、細胞の画像と最新の画像解析技術を応用することにより、細胞の種類や分化度を評価する新たな品質管理システムを開発することである。本年度はヒト骨髄間質細胞(BMSCs)の分化誘導過程における画像データの取得と骨分化マーカーの解析を行った。ボランティア(3名)より採取した骨髄液を用いてBMSCsの培養を行い、継代後の細胞を150mlフラスコへ播種し、BioStation CT(ニコンインスティック)にセットし、連続撮影を行った。骨分化の指標であるALP活性、カルシウムの沈着量を測定した。得られた画像についてはソフトウエア上で二値化とノイズ除去を行い、細胞特徴量、およびその時間的経過の中で、骨分化の指標として有用なパラメーターを選択した。細胞特徴量として抽出した細胞面積、長軸長、短軸長、楕円形度等の中で、比較的早期に変化の見られる指標と、後から変化の見られる指標が明らかとなった。細胞特徴量とALP活性およびカルシウム沈着量について、最も相関の得られる組み合わせの解析を行った。既存データからの新規対象の予測モデルと、それに加えて新規対象者の初期データから後期データの予測を行ったが、特に初期データを用いることで、より正確な予測が可能であることが示された。また、カルシウム沈着量と比較してALP活性は形態との相関が得られやすいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞の形態から機能を予測することは全く新しい試みであったが、経時的な自動画像記録装置と適切な統計学的手法を用いることで、予想以上に相関を得られる可能性が示唆された。ただし、ヒト細胞には個体差が大きいことが明らかとなっており、今後サンプル数を増やした場合の結果についての検討が重要である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進め方はほぼ決まっているため、今後は新たな細胞を用いた場合の予測精度について、サンプル数を増やして解析する。研究の推進方法についてはこれまでの計画通りで問題ないと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養、細胞の輸送、および研究打ち合わせのための費用を計上している。
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