研究課題/領域番号 |
23659924
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
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研究分担者 |
柴田 陽 昭和大学, 歯学部, 助教 (30327936)
荻野 玲奈(田中玲奈) 昭和大学, 歯学部, 助教 (80585779)
有本 隆文 昭和大学, 歯学部, 講師 (60407393)
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キーワード | エナメル / 再生 / バイオメカニクス |
研究概要 |
本研究の目的はエナメル質初期齲蝕を,生理的条件下で非侵襲的にエナメル質を再生させる治療方法の開発である.歯科臨床において齲蝕治療は最も日常的な処置である.近年,齲蝕の量・質ともに蔓延状況が改善され,初期症状であるエナメル質脱灰病変(初期齲蝕)の再生治療が注目されている.初期齲蝕において歯を切削することなく,非侵襲的にエナメル質を再生・再石灰化させることは歯科界にとって急務である.これまで初期齲蝕の治療法としては,カゼインホスホペプチド(CPP)と非結晶性リン酸カルシウム(ACP)の複合体であるCPP-ACPにより,長い時間をかけて再石灰化を期待するものが,唯一の機械的切削を行わない治療方法であった.しかし,エナメル質再石灰化には時間がかかるため進行性の病変には効果的でなく,現実的には再石灰化よりもフッ素などをさらに含有した本剤によるエナメル質の耐酸性向上,すなわち予防的に用いられることが多い.申請者らの研究遂行により,少なくとも初期齲蝕では機械的切削を行わず,エナメル質を再生することが可能になった. またミネラル供給源である人工体液組成を変化させ,構造の異なる人工エナメル質を化学的・物理的に検証することにより,これまで天然歯の解析では不十分であった生体材料としてエナメル質の特性を明らかにした.再生エナメル質の耐酸性を,乳酸脱灰溶液を用いて確認したところ,天然エナメル質に対して明らかに向上していることが確認されている.分極されたエナメル質は再石灰可能が天然エナメル質に比べて明らかに向上しており,このため酸性条件下でも優れた再石灰可能を示すと考えられる.本研究からエナメル質のエネルギー勾配をコントロールすることにより,エナメル質初期齲蝕を再生できる可能性が示唆された.
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