研究課題/領域番号 |
23659928
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50301891)
|
研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802)
戸塚 靖則 北海道大学, -, 名誉教授 (00109456)
北村 哲也 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00451451)
安田 元昭 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90239765)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | アデノウイルス / 腫瘍 / 溶解 / ARE-mRNA |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、腫瘍細胞のみで増殖可能で細胞を溶解し、正常細胞では全く増殖できず何の影響も与えない腫瘍溶解アデノウイルスを開発することである。アデノウイルスのE4領域にコードされているタンパクは、ウイルスの増殖に必須で、AU-rich element (ARE)を持つmRNAを核外輸送・安定化することによりウイルスを複製に導く。従って、E4を欠損したアデノウイルス(AdΔE4)は、あらかじめARE-mRNAが核外輸送・安定化しているがん細胞では増殖できる可能性がある。昨年度までにAdΔE4の効果を主に培養細胞を用いて行い、ウイルス増殖効率や感染細胞の細胞死を検討し、良い結果が得られた。さらに新しい腫瘍溶解アデノウイルスの開発に取り組んだ。本年度は、ヌードマウスを用いてin vivoでAdΔE4の腫瘍溶解効果を検討し、新しいウイルスの腫瘍溶解効果を培養細胞を用いて検討した。 1ヌードマウスでの解析: ヌードマウスにHeLa、H12999細胞などのヒトのがん細胞を移植し、できた腫瘍にAdΔE4を直接注入し腫瘍が縮小するか検討した。腫瘍の大きさが5mm程度になったらAdΔE4を直接腫瘍に注入し、経時的に腫瘍の大きさを測定し体積を求めた。その結果、ウイルス注入後3日目あたりから腫瘍が縮小し始め、約3週間で半分程度の大きさになった。それに対してPBSを注入した対照群では、3週間後に腫瘍の大きさが3倍以上になった。これらの結果は、ヌードマウスに形成された腫瘍に対してAdΔE4が腫瘍縮小効果を持つことを示している。現在、既存の腫瘍溶解アデノウイルスONYX-015とその効果をヌードマウスで比較している。 2新しいウイルスの効果: ウイルス増殖効率と感染細胞の細胞死を検討中であるが、現在のところ良い結果は得られていない。 以上の結果より、AdΔE4は予想通りの腫瘍溶解効果を持つことが証明できた。
|