今後の研究の推進方策 |
1)腫瘍血管内皮細胞の肺への集積と転移前ニッチ形成の評価:腫瘍血管内皮細胞ににGFPを遺伝子導入して蛍光ラベルし,マウスの尾静脈から静注する. 肺への生着と転移前ニッチの形成を, GFPを指標として蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察する.2)腫瘍細胞の転移前ニッチへの生着の検討:腫瘍血管内皮細胞にGFP, 低転移性腫瘍細胞A375にDsRED遺伝子を導入し標識する. まず, 腫瘍血管内皮細胞をマウス尾静脈から静注して肺に転移前ニッチを形成させ, 次に腫瘍細胞を尾静脈から静注する. 肺を蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察し, 腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞の共存を観察する.3)腫瘍血管内皮細胞の転移前ニッチ形成と腫瘍細胞の転移巣形成の検討:上記2.と同様に腫瘍血管内皮細胞にGFP, 腫瘍細胞にDsRED遺伝子を導入し,腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞を混合してマウス皮下に接種して腫瘍を形成させる(同所性移植). 肺転移巣におけるGFPとDsREDを蛍光実体顕微鏡および組織切片で観察し,腫瘍血管内皮細胞と腫瘍細胞の共存を観察する.4)各種血管内皮細胞による転移前ニッチ形成能の違いの検討:低転移性腫瘍細胞A375と高転移性のA375SM 移植腫瘍組織からそれぞれ樹立したA375-EC(LMTEC)とSM-EC(HMTEC), および正常皮膚由来血管内皮細胞NECを用いる. これらの血管内皮細胞にGFP遺伝子を導入して標識を行い, これら血管内皮細胞をマウス尾静脈から静注して肺に転移前ニッチを形成させ, その程度を蛍光顕微鏡および組織切片で観察し評価する. また3.同様に腫瘍細胞にもDsREDを遺伝子導入し, 標識したECと腫瘍細胞を混合してマウス皮下に接種し, 肺転移の差異を評価する.
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