研究課題/領域番号 |
23659930
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任准教授 (40399952)
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研究分担者 |
進藤 正信 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20162802)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399919)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任助教 (40548202)
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キーワード | 腫瘍血管 / がん / 転移 |
研究概要 |
腫瘍血管内皮細胞に対するがん細胞走化性やがん細胞接着性の解析をした. がん細胞の内皮への走化性をボイデンチャンバー下室に高転移腫瘍由来の血管内皮ならびに低転移腫瘍由来の血管内皮細胞または正常血管内皮細胞をまき,上室の口腔がん細胞の遊走性を解析した.高転移性の血管内皮細胞に対して腫瘍細胞は最も多く遊走した. また,腫瘍血管内皮細胞と正常血管内皮細胞をコンフルエントに培養し,そのモノレイヤーに対するがん細胞の接着性を解析したところ,腫瘍細胞は最も多く高転移性腫瘍血管内皮に接着した. 高転移性腫瘍内の血管内皮に特異的に発現する分子の同定また,これまで見出してきた悪性腫瘍由来の血管内皮細胞に発現する腫瘍血管内皮細胞マーカーのうち高転移性腫瘍血管内皮に有意に高く発現している分子を同定し,siRNAによりノックダウンを行った.それらのうちいくつかの分子は高転移性の腫瘍由来の液性因子により発現が亢進することがわかり,腫瘍細胞と血管内皮細胞の間に確かにクロストークがあることがわかった.高転移性の腫瘍血管内皮マーカーのうちX遺伝子をノックダウンすると,腫瘍細胞の血管内皮に対する遊走や接着が落ちることがわかり,血管内皮由来因子によってがんの転移が促進しうる可能性が示唆された.このマーカーXは健常者に比べがん患者の血清中に高いレベルで検出され,今後がんの早期診断マーカーとしての応用も示唆された.さらに血管におけるマーカーの発現とがんの血管内浸潤との関連も解析したところマーカーX陽性血管では陰性のものよりも浸潤しているがん細胞が多い傾向がみられた.
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