研究概要 |
本年は、震災の影響でCASKノックアウトマウスの導入が遅れたため、結合物質の同定を主体としたin vitroの実験を優先しておこなった。CASKノックアウトマウスについては、現在、動物施設内への導入の準備中である。1)質量分析による結合物質の同定:CASKのPDZ-SH3-Gukドメインを含むGST-fusionタンパク質を作成し、マウス脳抽出液をカラムに通し、電気泳動で分離し、GSTのみのコントロールと差があるバンドを結合物質とし、Q-TOF LC/MSで分離したところ、CNTNAP2, Tenascin-R, Syndecan-4, AGPAT1, Desmoplakin, Desmoglein 1, Junction Plakoglobin ,neurexinが同定された。この中からneurexinを選択し確認作業をおこなった。GST-CASKによる、pull downアッセイをおこなったところ、ウェスタンブロットでneurexinは確認され、結合することが証明された。2)ドメイン解析: CASKのどのドメインにneurexinが結合するかを調べるために、ドメイン解析を開始した。ドメイン解析にはPDZドメイン、SH3ドメイン、GuKドメインに分割し、3つとも含むもの、PDZドメインのみのもの、SH3+GuKドメイン、GuKドメインに分割し、それぞれ GSTフュージョン・タンパクを制作した。ついで、GSTカラムに固定し、マウス脳抽出液から溶出させ、ウェスタンブロットによりneurexinの結合部位を同定し、CASKの複数のドメインにneurexinが結合することが予想された。3)その他:また、マウスの顎の変形を解析するため、ハウスドルフ距離を用いて対称性を数値化する方法を考案し、また臨床での応用の可能性を示し発表した。
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