研究課題/領域番号 |
23659940
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
黒田 真司 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50323689)
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研究分担者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70161049)
中田 秀美 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30451967)
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 |
研究概要 |
幹細胞に関する研究の躍進は甚だしい。組織にはその前駆体や未分化な細胞が含まれており、それらを特定の細胞へ分化誘導する場合、必ずしも初期化は必要ではない。そこで、容易に採取出来る脂肪組織から、脱分化脂肪細胞あるいは脂肪由来幹細胞を培養し、その立体培養コンストラクトの移植実験によって、同じ間葉系組織である骨組織の骨再生(骨形成)を小動物の骨欠損部において試みる。 当該年度では、脂肪組織より脂肪由来幹細胞の単離・培養および膜抗原によるソーティングとそれらの培養に成功した。それぞれの骨芽細胞分化能に対してDNAマイクロアレイ、培養細胞染色を行ったところ、ソーティングした異なる細胞群によって特性に差が見られた。また、骨形成誘導因子であるbmp2のアデノウィルスベクターの作製に成功し、このベクターからアデノウィルスの発現と精製を行った。ウィルスの感染効率に関してタイター測定を行ったところ、十分な感染性が得られた。アデノウィルスによる遺伝子導入は効率が良い上、永続的なタンパク発現はなく、一過性の発現機序を持つため安全性も高い。今後は、bmp2の遺伝子導入によって、脱分化脂肪細胞あるいは脂肪由来幹細胞の効率の良い骨芽細胞分化を獲得し、骨再生(骨形成)促進を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪細胞および脂肪由来幹細胞の分離・培養の確立に時間が掛かったものの、膜抗原による細胞ソーティングおよびアデノウィルスベクターの作製は終了した。生体親和性スキャフォルドを用いた立体培養に至っていないが、確実に進行し、結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入による骨芽細胞分化を獲得すること、そして立体培養の確立を早期に行い、骨芽細胞分化を組織学的、分子生物学的に評価するする。また、脂肪由来幹細胞をいくつかの細胞膜抗原によってソーティングが終了した。そこで、同様に骨芽細胞分化を評価する。 ソーティングした細胞にbmp2アデノウィルスの遺伝子導入を計画しており、効率の良い骨芽細胞分化を獲得と骨再生(骨形成)促進を目指す。また、立体培養コンストラクトを小動物の皮下あるいは骨欠損部に移植し骨形成・骨再生を評価する。本研究における脂肪由来幹細胞の骨芽細胞分化および骨形成は、骨髄細胞を用いた場合を対照群として比較する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
生体親和性の高い様々な分子構造をもつブロックを用いた立体培養コンストラクトの作製と、それらの動物移植手術と動物飼育に関して、主に研究費をあてる。成果発表のための学術大会参加費なども含まれる。
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