研究課題
本年度は定量的な評価をした.下顎骨の片側を区域切除し,形成した骨片に液体窒素凍結処理を施し,それに①細胞なし,②骨髄単核細胞,③培養骨髄間質細胞のそれぞれを組み込んだうえで再植し,その後の治癒過程をX線学的,組織学的に評価した.組み込む細胞の種類,数,分化度,適用方法を変数にした条件を設定し,組み込み処理についての至適条件を,さらにその条件の組み合わせにより最適条件を求めた.具体的な実験概要は以下の通りである.1.実験動物:ラットを用いた.2.細胞培養:骨髄液を採取し,骨髄間質細胞を分離,培養し増殖させた.培養過程で細胞を蛍光標識した.3.手術および骨片等処理:術中に以下の(1)から(5)まで進めた.(1)下顎骨部分切除:下顎片側だけ下顎骨角部から骨膜を含めて部分切除をした.(2)骨片の液体窒素凍結処理:ヘパリン加生食水で洗浄し骨膜を除去した骨片に,凍結時の破折防止のため1mm間隔で皮質骨を穿孔した.骨片を液体窒素中に10分間浸漬した後に5分間の室温放置,5分間の生食水中浸漬をした.(3)骨髄単核細胞分離:骨髄液をから,percoll密度勾配遠心法により単核細胞分画を調製した.細胞は蛍光標識をした.(4)組み込み処理とその条件設定:骨片の穿孔部から次の一定量を注入した.対照群①細胞なし(リン酸緩衝液),実験群②骨髄単核細胞,③骨髄間質細胞とした.(5)再植:骨片を復位し固定し顎下部を閉創した.4.評価:術後2,4,8週でX線学的および組織学的に骨片とその周囲を観察した.蛍光顕微鏡像を画像解析し,それぞれから骨微細構造と細胞の動態を把握し,結果を評価した.形成した骨片に液体窒素凍結処理を施し,組み込む細胞の種類,数,分化度,適用方法を変数にした条件を設定し,組み込み処理についての至適条件を,さらにその条件の組み合わせにより最適条件を求めた.
2: おおむね順調に進展している
研究計画に無理がなく,その内容が妥当であったためであると考える.
平成23,24年度に得られた結果を基にして,臨床への応用および展開を視野に入れて検討する.骨片に骨膜付きの条件も設定し,生着に及ぼす影響を調べる.さらに骨以外に筋や神経,血管についても同様の試みを検討する.それらは単体のみならず,骨を中心に複合した状態も想定する.
該当なし.
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