研究課題/領域番号 |
23659945
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
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研究分担者 |
岡本 哲治 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 細胞接着 / インテグリン / 浸潤 / 転移 |
研究概要 |
インテグリンはαとβのサブユニットで構成されているヘテロ二量体で,細胞膜上に発現し細胞の細胞外基質への接着や細胞遊走を制御していることが知られている.これまでに,インテグリンαvが活性型MMP-2の細胞膜上への結合因子として機能していることや,インテグリンαvがMAPキナーゼシグナル伝達系を介して口腔扁平上皮癌細胞の増殖を制御していることを明らかにした.さらにインテグリンαv介して,扁平上皮癌細胞は運動能が促進され,このシグナル伝達にはRhoファミリーG蛋白Rac1が関与していることをみいだした.これらの知見から,インテグリンαvを標的とした,口腔扁平上皮癌の分子標的治療は,扁平上皮癌の増殖と運動能を抑制する可能性が示唆された.そこで,インテグリンαvのアンチセンスRNAを産生するプラスミドを作製し,これを扁平上皮癌細胞に導入し,インテグリンαv蛋白の発現抑制を試みた. インテグリンαvサブユニット蛋白発現が低下した扁平上皮癌細胞は,in vitroでの細胞増殖が著明に低下していた.インテグリンαvサブユニット発現が低下していない扁平上皮癌細胞をコラーゲンゲル内で培養すると,拡張したコロニーを形成し,一部の細胞は周囲のコラーゲンゲルに浸潤を示唆する増殖様式を示したが,インテグリンαvの低発現細胞株のコロニーは小さく,密に凝集する細胞集団で構成されていた.インテグリンαvサブユニット蛋白発現が口腔癌の浸潤能を抑制する可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題は,腫瘍細胞の細胞接着分子であるインテグリンαv発現を特異的に抑制することで,口腔癌の増殖や浸潤・転移を阻止する新しい口腔癌治療法を開発することを目的としている. これまでの研究で,インテグリンαvはMAPキナーゼシグナル伝達系を介して口腔扁平上皮癌細胞の増殖を制御していることに加え,RhoファミリーG蛋白Rac1を介して扁平上皮癌細胞は運動能を制御していることもみいだしてきた.さらにインテグリンαvのアンチセンスcDNA導入により,インテグリンαv発現を抑制できることもわかった.このように,インテグリンαv発現抑制手段が確立できたことにより,扁平上皮癌細胞の増殖能と運動能を低下させる可能性が考えられ,本申請課題の目標である口腔癌の増殖や浸潤・転移を阻止する新しい口腔癌治療法開発につながる知見が得られたように思われる.
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今後の研究の推進方策 |
(1)アンチセンスcDNAまたはsiRNAによるin vitroでの癌細胞の増殖阻止効果の検定 インテグリンαvのアンチセンスRNAを産生するプラスミドを作製する.さらにインテグリンαvに対するsiRNAを数種類,設計・作成する.これらのアンチセンスcDNAまたはsiRNAを,リポフェクタミン法で扁平上皮癌細胞に導入し,インテグリンαvのmRNA及び蛋白の発現抑制効果を,それぞれリアルタイムPCR及びWestern Blot法で解析する.さらにアンチセンスcDNAまたはsiRNA導入による細胞増殖抑制効果を検討する.(2)アンチセンスcDNAまたはsiRNAによるin vitroでの癌細胞の浸潤阻止効果の検定 アンチセンスcDNA またはsiRNAが導入された扁平上皮癌細胞の浸潤能は,口腔癌細胞の遊走能と培養上清及び細胞蛋白中の蛋白分解活性を,それぞれBoyden chamber法とザイモグフィーで解析することで,癌細胞の浸潤阻止効果を判定する.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究計画の推進のために,遺伝子工学関連試薬,抗体,培養液や培養器具等の消耗備品の購入を予定している.
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