研究課題/領域番号 |
23659948
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
北村 直也 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70351921)
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研究分担者 |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (00200824)
笹部 衣里 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40363288)
吉村 友秀 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (80452697)
大野 清二 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40624995)
李 康広 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70587526)
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キーワード | MFG-E8 / 口腔扁平上皮癌 / LAK細胞 |
研究概要 |
これまでわれわれは、アポトーシス細胞の「Eat me signal」に関与しているMilk fat globule factor-E8(MFG-E8)が口腔扁平上皮癌における化学・放射線・免疫療法の効果予測因子となり得る可能性を明らかにし、その機序として、MFG-E8がIL-2で活性化した細胞傷害性リンパ球(LAK細胞)による口腔扁平上皮癌細胞の傷害能を増強することが関与していることを報告した。そこで、本年度は株化口腔扁平上皮癌(OSC)細胞を用い、OSC細胞の抗癌剤および放射線に対する感受性に及ぼすMFG-E8の影響について検討した。その結果、OSC細胞を抗癌剤(5-FU、CDDP)およびγ線で処理すると、細胞のアポトーシスが誘導されるとともに、MFG-E8の発現ならびに分泌が亢進し、LAK細胞に対する感受性が増強した。OSC細胞にMFG-E8-siRNAを導入し、MFG-E8の発現をノックダウンした細胞では、コントロール細胞と比較してアポトーシスが抑制されるとともに、LAK細胞に対する感受性は減弱した。さらに、OSC細胞の被貪食性におけるMFG-E8の関わりについても検討した。OSC細胞を抗癌剤(5-FU、CDDP)およびγ線で処理しアポトーシスを誘導した後、健常人末梢血より採取した単球・マクロファージとともに混合培養を行ったところ、無処理のものと比べOSC細胞の被貪食性が亢進しており、この効果はMFG-E8のノックダウンにより抑制された。以上のことより、OSC細胞の抗癌剤およびγ線に対する感受性に増強に、MFG-E8の発現促進を介したLAK細胞の傷害能や単球・マクロファージの被貪食能の亢進が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、培養細胞を用いた研究の後、In vivoの系を用いてMFG-E8の効果を検証する予定であったが、完遂できていない。In vitroの系は予定通り実行できたことより、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、In vivoの系を用いた実験を継続する予定である。SCIDマウスの舌に、MFG-E8 siRNA発現ベクターを導入した細胞を移植し腫瘍を形成させた後、抗癌剤の投与およびγ線照射を行ない、処理後の腫瘍を用いて、臨床病理組織学的因子との関連について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費のほとんどは試薬、実験動物に使用し、ごく一部を成果発表の経費に使用予定である。
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