研究課題/領域番号 |
23659949
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60189040)
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研究分担者 |
林田 淳之介 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80432920)
森山 雅文 九州大学, 大学病院, 医員 (20452774)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ドライマウス / 唾液 / サイトカイン / シェーグレン症候群 |
研究概要 |
本年度は以下のような研究を行った。1)ドライマウス患者からの唾液採取健常ボランティア、シェーグレン症候群(SS)患者、放射線性ドライマウス、神経性あるいは薬物性ドライマウス(XND)患者を対象として刺激時・安静時唾液唾液を採取している。現時点では各々 20 例前後の採取が完了している。またドライマウスの鑑別診断は、唾液分泌量測定や唾液腺シンチグラフィーなどの従来の口腔関連の検査を行っている。2)高感度で再現性のある解析方法の検討BD 社の Cytometric bead array system を用いて、まず健常者と SS 患者のサイトカイン・ケモカインの濃度を測定した。その結果、SS 患者では健常ボランティアと比較して、Th1 および Th2 タイプのサイトカイン・ケモカイン濃度が有意に高く、さらに SS 患者を口唇腺のリンパ球浸潤で重度・軽度の2群に分類すると、重度の患者では Th2 タイプのサイトカイン・ケモカインの濃度が有意に高かった。これら結果はわれわれの過去の口唇腺における研究結果と相関するもので、唾液を用いた測定方法が病態把握に十分に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究成果は、Clinical & Experimental Immunologyに掲載準備中でなり、世界的にも注目されている。唾液を検体として用いた新しい検査方法の開発を目指していく中で、今年度の研究成果は期待通りのものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、測定するタンパクの種類(イムノグロブリンや自己抗体なども含む)、唾液の種類、症例数を増やして検討を加え、ドライマウスの鑑別診断や病態の把握に有用なものを選択する。 ドライマウスの鑑別診断や病態の把握に有用と思われるタンパクや唾液の種類を決定し、全てのタンパクを一度で測定できるようにビーズの蛍光強度を調整する。これにより、微量の唾液を用いて一度にフローサイトメトリーで測定することができ、簡便かつ迅速な新しい診断方法が確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、平成23年度と平成24年度の研究の進行具合をみながら以下のように行う。1)口腔関連の検査体系の確立 ドライマウスの鑑別診断や病態の把握に有用と思われるタンパクや唾液の種類を決定し、全てのタンパクを一度で測定できるようにビーズの蛍光強度を調整する。これにより、微量の唾液を用いて一度にフローサイトメトリーで測定することができ、簡便かつ迅速な新しい診断方法が確立できる。さらに、唾液分泌量測定、唾液腺造影、唾液腺シンチグラフィー、超音波検査などの従来の口腔関連の検査結果を組み合わせ、正診率、感度、特異性を検討して検査体系の確立を目指す。その際、可能な限り、簡便、非侵襲的、高感度、かつ再現性が高いことを重視し、必要最小限の検査方法を選別することとする。
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