研究課題/領域番号 |
23659950
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鳴瀬 智史 長崎大学, 大学病院, 助教 (70549609)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | mTOR阻害薬 / 癌幹細胞 / 低酸素領域 / 分子標的治療薬 |
研究概要 |
【具体的内容】 今回研究代表者はmTOR阻害薬の感受性を調べるため、口腔扁平上皮癌細胞株 7株を用いて、MTTアッセイにて検討を行った。さらに、正常酸素(37℃、5%CO2、19%O2)および低酸素(37℃、5%CO2、0.1%O2)を培養条件に設定し、癌幹細胞マーカー(CD133、Oct-4)の発現および抑制能についてWestern blot法を用いて検討した。MTTアッセイにて口腔扁平上皮癌細胞株7株すべてにおいて、濃度依存的に増殖能の抑制が確認できた。その中で、最も感受性の高いSASを検討する細胞株として選択した。またWestern blot法にて、正常酸素下と比較し低酸素下での癌幹細胞マーカーの発現量が上昇し、さらにmTOR阻害薬の濃度に依存して、癌幹細胞マーカーの発現が抑制されることが確認できた。【意義および重要性】 癌幹細胞は多くの点で低酸素下癌細胞との類似性が明らかになっており、これらにはHIF-1経路の活性化が関与しているとされている。これまで得られた結果により、mTOR阻害薬は口腔扁平上皮癌の増殖能抑制に有効であり、さらに癌幹細胞機能の維持を破綻させることができる可能性が示唆された。今後、PI3K阻害薬併用による癌幹細胞マーカー発現に関する検討、また免疫組織化学染色による癌幹細胞マーカーと臨床的因子との検討で、生存率との相関性が明らかになれば、口腔癌治療における予後改善の可能性も示唆され、口腔癌領域における新規抗癌治療の開発および癌幹細胞説の解明に貢献できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
mTOR阻害薬による癌幹細胞マーカーの抑制については証明することができ、癌幹細胞に対する感受性については確認できた。しかしながら、効果増強が期待できるPI3K阻害薬、またCDDPおよび5-FUに対する実験がすすんでおらず、現在原因について検討中である。また幹細胞マーカーと臨床的因子との検討を行うための、免疫組織化学染色も終了していない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、計画通りに進んでいないため、まず研究時間の確保に努めることを第一とする。研究計画としては、引き続き分子標的治療薬を用いた癌幹細胞マーカーの発現をWestern blot法およびRT-PCR法で検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
Western blot法およびRT-PCR法に必要な試薬・抗体の購入、学会出席のための旅費および論文公表のための校正料、投稿料および複写費用に使用することとする。
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