研究課題/領域番号 |
23659951
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50456654)
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研究分担者 |
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
各務 秀明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80242866)
長井 一浩 長崎大学, 大学病院, 講師 (30304942)
縣 秀樹 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (20581177)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 再生 / 神経堤細胞 |
研究概要 |
本研究は、第一に神経堤由来である歯髄・歯根膜幹細胞から、さらに高い可塑性を持った幹細胞の抽出・濃縮を行なう。幹細胞の様々な選択的条件を神経堤細胞の維持に用いる培養法に応用することで、神経堤の分化系譜に属する細胞への高い可塑性を持った神経堤由来幹細胞(NCSC)の抽出と濃縮を試み、その効率的な獲得法の開発を試みる。第二に、NCSCを応用して、放射線照射後の唾液腺萎縮組織に残存する導管細胞から、唾液分泌機能を持つ腺房細胞をin vivoにおいて直接誘導を行なう。NCSCと導管細胞が発生学的相互作用を起こすことで、萎縮組織内で導管細胞から腺房細胞への分化増殖が誘導される可能性を検討する。導管にcommitした細胞から腺房細胞への直接分化を図るdirect reprogrammingを細胞移植より誘導できれば、唾液腺萎縮症への新しい細胞治療法の開発の基盤となる。本年度は、まずヒト歯髄から単離した細胞を浮遊培養下でsphereを形成する細胞を増殖させた。sphereを形成する細胞塊の特性は、神経堤細胞のマーカーの1つであるp75NGFRや、Sox2、Stro-1といった幹細胞マーカーに陽性を示す細胞群を内部に含んでいることが分かった。そのため、浮遊培養にて得られたsphereを回収し、マウス顎下腺から単離した唾液腺上皮細胞と共に培養することとした。唾液腺上皮細胞については、同じく浮遊培養にてsphereを形成する細胞を回収した後、培養皿に播種した。培養皿に播種された唾液腺由来のsphere形成細胞は、無血清下で接着培養すると、増殖した細胞は導管系の特性を持った細胞を多く認め、腺房細胞への分化は認められない。そこで、現在トランスウェルを用いた歯髄由来のsphere形成細胞との共培養により、無血清下で培養を行なった唾液腺由来細胞の腺房細胞への分化誘導を様々の条件で試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、in vitroにおいて、培養唾液腺上皮細胞から腺房細胞への分化誘導に対する歯牙間葉系組織由来の幹細胞の影響を解析している。この実験にある程度の目途が立てば、放射線性の萎縮唾液腺モデル動物を使用したin vivo実験に移行することが出来、期間内に十分とは言えないが、ある程度のデータを蓄積することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上記したように、まずは現在行なっているin vitroの実験を継続する予定だが、ゲルを用いた共培養など他の培養法も試み、より腺房細胞への誘導性の高い条件を評価していく。又、放射線性の萎縮唾液腺モデルを免疫不全マウスにて作出する必要があり、in vitroの実験と併せて行なっていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養と実験用動物の購入に加えて、細胞の特性を詳細に解析するための試薬や抗体が必要であり、さらに移植用器具や採取した障害組織の解析に関わる試薬、抗体や器具等も新たに必要である。
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