研究課題/領域番号 |
23659956
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
新谷 悟 昭和大学, 歯学部, 教授 (80294429)
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研究分担者 |
近藤 誠二 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10432634)
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
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キーワード | 脂肪幹細胞 |
研究概要 |
顎堤の骨吸収や顎骨欠損に対する骨の再生医療は、歯科・口腔外科領域における重要な治療の一つである。従来、顎堤の形成あるいは顎骨の再建には遊離骨移植、あるいは海綿骨細片移植などによって行われてきた。これらの方法は有用性が高い反面、骨採取に伴う手術侵襲が大きいことから、今日では、より低侵襲で確実な骨の再生方法が望まれている。本研究は自家脂肪幹細胞を用いた骨再生法の確立を目的とする。すなわち、最小限の手術侵襲でより効果的な骨の再生方法を確立するために、口腔内より採取した頬脂肪体または腹部より吸引した体脂肪体より脂肪幹細胞を抽出し、骨芽細胞または軟骨細胞を分化誘導し、骨欠損部位に自家移植することによる骨の再生方法の確立を目標とする。この為の具体的な計画として1) ヒト脂肪幹細胞から骨芽細胞または軟骨細胞への分化誘導に対する化学的刺激、物理的刺激の有用性を証明し、分化した細胞の種類、分化の程度、石灰化形成能などに関与する分子、シグナル伝達経路を網羅的に解析する。2)分化誘導した細胞を実験動物の顎骨に移植し、周囲骨組織の反応、移植部における骨組織の形成過程などを形態学的および骨力学的に明らかにする。また、組織病理学的検索を加え、形成された骨組織の有用性に関する検討を行う。本研究により遺伝子導入はせず、化学的刺激や物理的刺激により細胞を分化誘導することによって顎骨の再生医療に応用したこと、脂肪幹細胞の分離が技術的に容易であることは、より臨床応用に近い形であるため、低侵襲医療が提供できる可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の重要な点は遺伝子導入はせず、化学的刺激や物理的刺激により脂肪幹細胞を骨、軟骨に分化誘導することによって顎骨の再生医療に応用することである。低酸素暴露や薬剤誘導による効率的な分化誘導はより臨床応用に近い形であり、低侵襲医療が提供できる可能性が高まっている。
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今後の研究の推進方策 |
骨再生における分化誘導した細胞の有用性に関する検討で実際に 分化誘導した細胞を実験動物(ヌードマウス)に移植し再生した骨、軟骨の性状評価を検討する。免疫組織学的解析およびマイクロCT等で骨構造解析を行う。最終的には再生骨等を骨構造、密度、強度測定まで行い、評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
骨再生における分化誘導した細胞の有用性に関する検討で実際に 分化誘導した細胞を実験動物(ヌードマウス)に移植し再生した骨、軟骨の性状評価を検討するため、実験動物の飼育にかかる経費が必要である。免疫組織学的解析が主となるので病理組織切片作成、抗体などにかかる経費が必要となる。
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