研究概要 |
1. T-RFLP解析による経管栄養施摂取者に特徴的な細菌種の特定 HaeIIIによる簡易T-RFLP解析の結果から、経管栄養摂取者の細菌叢が経口栄養摂取者に比較して、極めて異なることが推察された。そこで本研究ではより詳細な細菌叢の違いを明らかにするため、HaeIII以外の制限酵素であるRsaI, MspIおよびHhaIによる消化で得られた複数のT-RFLPピークパターンの組み合わでデータを再解析した。本解析にあたっては複数のピークパターンからHOMDに登録された様々な細菌種がフローラ全体に占める割合を近似解を用いて理論的に計算できるコンピューターソフトを予め独自に開発した。しかし、経口栄養摂取者に比較して経管栄養摂取者に特異的に認められたTRFはHOMDに登録された細菌種にいずれも対応しないことから、経管栄養摂取者に特異的に認められる細菌種はHOMDに登録されていない細菌種から構成されているものと考えられた。 2. パイロシーケンスによる経管栄養摂取者の舌苔細菌構成の解明 パイロシーケンス解析の対象者として、経管栄養摂取者から15名、寝たきりの経口栄養摂取者から16名を選んだ。得られたDNAシークエンスを解析した結果、経管栄養摂取者の口腔にシュードモナス属やアシネトバクター属や通常ヒトの口腔では検出されることが少ないコリネバクテリウム・ストリアツムや ストレプトコッカス・アガラクチアなどが認められた。 3.経管栄養摂取者に特徴的な菌種と全身状態との関連性についての検討 パイロシーケンスから推定される菌種の中で経管栄養摂取者に特異的に認められたいものについて、それぞれの菌種の量と、サンプル採取前後一年間の発熱日数、肺炎の発症との間の関連を検討したが、単独でこれらの臨床症状に有意に関連性を示した細菌種は認められなかった。
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