研究課題/領域番号 |
23659990
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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研究分担者 |
坂野 雄二 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (10134339)
森谷 満 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 准教授 (50550357)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
豊福 明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10258551)
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キーワード | 認知行動療法 / 歯科心身症 / 舌痛症 / 非定型歯痛 |
研究概要 |
本研究では、これまで研究ら者が行ってきた舌痛症患者への調査研究を広げる形で、痛みを伴う歯科心身症患者を対象に調査研究を行い、痛みを伴う歯科心身症患者に対する認知行動療法の適応可能性を検討した。調査研究の結果、認知行動療法を適用できると考えられた痛みを伴う歯科心身症に対して認知行動療法プログラムを実施し、短期的な効果を検討した。 (1)痛みを伴う歯科心身における認知的特徴の検討: 慢性疼痛患者にみられる認知的特徴(破局的思考)が、痛みを伴う歯科心身症患者にもみられるかどうか、またそうした破局的思考の特徴が実際に歯科心身症患者の症状や機能状態に悪影響を及ぼしているかどうかを縦断的な調査研究を行った。その結果、舌痛症患者、非定型歯痛患者では、破局的思考の強くこのことが症状へも影響を及ぼしてることが示唆された。このことから、破局的思考の認知を修正することが症状へ良い影響を与えるものと考えられた。 (2)舌痛症患者に対する認知行動療法の効果検討: これまでの調査研究から認知行動療法の適用可能性が高いことが明らかにされている舌痛症患者に対して認知行動療法を用いた治療を行いその効果検討を行った。治療プログラムは、「セッション1:舌痛症に対する心理教育、セルフモニタリング、リラクゼーション」、「セッション2:ディストラクション、思考の同定」、「セッション3:思考に関する妥当性の検討」、「セッション4:適応的思考の生成」として、1回60分程度のセッション2を2週に1回、合計で4回実施した。その結果、このプログラムにより有意な症状の改善がみられた。 (3)非定型歯痛患者に対する認知行動療法の効果検討: 舌痛症で効果の得られた認知行動療法プログラムを非定型歯痛患者に応用した。その結果、有意な症状の改善がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、これまで研究ら者が行ってきた舌痛症患者への調査研究を広げる形で、痛みを伴う歯科心身症患者を対象に調査研究を行い、痛みを伴う歯科心身症患者に対する認知行動療法の適応可能性を検討したものである。これまでの研究が基盤にあり、前年度には舌痛症での有効性が確認できたため、そのプログラムを非定型歯痛みに応用したものであり、予定通りに研究を遂行することが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の調査結果を継続しながら、随時、認知行動療法の適用が可能である歯科心身症患者を対象に、認知行動療法の適用を行っていく。対象者は、認知的特徴の調査研究で、慢性疼痛の認知的特徴が認められ、認知行動療法の適用可能性が高いと判断された各疾患患者40名とする。うつ病などの精神疾患が認められた場合は、対象者から除外する。評価方法は前年度と同様の方法を用い、それぞれの疾患に対する治療効果を検討する。治療プログラムは、前年度に用いたプログラムを各疾患に適用可能な形に修正し用いることとする 。また、舌痛症患者および非定型歯痛患者に対する治療の効果検討も引き続き行い、長期的な治療成果の評価も行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
認知行動療法評価に関わる費用、研究成果発表に関わる費用が必要である。
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