平成24年度に行った、若年健常者での脳血流量の測定方法をもとに、健康高齢者を対象とした測定、検討を行った。日本歯科大学多摩クリニックにて行った介護予防事業に参加した健康高齢者のうち、研究への協力の同意を得た23名(男性2名、女性21名、平均年齢75.3±4.2歳)を対象に測定を行った。 測定にはスペクトラテック社製OEG-16を用い、被験者23名全員の前額部に近赤外光送光部と受光部センサーが2行6列で交互に3cm間隔で配置したセンターバンドを装着し、安静時の他4つの条件において脳血流の測定を行った(計16チャンネル)。測定する課題は前年度から一部変更し、条件1では、被験者は開眼した状態で、介助者が声掛けを行いながらゼリーを摂取させた。 条件2では、被験者は開眼した状態で、介助者は条件1と異なり声掛けを行わず、ゼリーを摂取させた。条件3では、被験者に閉眼させ、介助者は条件1と同様に声掛けを行い、ゼリーを摂取させた。条件4では、条件3と同様に被験者に閉眼させ、スプーンを被験者の下唇に触れさせることで開口・ゼリーを摂取させる合図とした。すべての条件で、課題開始時より脳血流量の増加がピークに達するまでの時間を求めた。また、山梨県にある特別養護老人ホームに入居中の認知症高齢者3名に対し、脳血流量の測定を行った。測定場所はそれぞれの施設内において可及的に静かな部屋とし、健康高齢者での測定と同様にゼリーを介助にて摂取中に測定を行った。今回の測定において、一部被験者では測定に対する緊張感の高まりからか、意図せぬ脳血流量の増加が測定時間内全般にわたり見られたケース、また逆に課題が進むにつれ「慣れ」が生じたことによる影響が見られたケースが認められた。
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