研究課題/領域番号 |
23659992
|
研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
山田 秀則 鶴見大学, 歯学部, 助教 (60240032)
|
研究分担者 |
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
今井 奨 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80072958)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 唾液 / 歯石 / ナノバクテリア |
研究概要 |
グラム陽性桿菌の一種であるCorynebacterium matruchotii( C. matruchotii) はcom-cobの形成において、central filamentとしての役割をはたしている。C. matruchotiiは口腔内に生息し、過飽和のカルシウムが存在する口腔内において、リポタンパク質を沈着させ、ハイドロオキシアパタイトの核を成長させるとされている。本研究課題において疫学調査を行うためには口腔内からC. matruchotiiの検出方法の確立が必須となる。しかし、現在のところC. matruchotii特異的な検出方法は確立されていない。細菌の検出方法としては、16S Ribosomal RNAのシーケンスによる方法が確実な方法であるが、疫学調査でこの方法を用いるとコストがかかりすぎてしまう。そこで本研究課題において、C. matruchotiiの膜タンパクを抽出しC. matruchotii特異的なタンパク質からモノクロナール抗体を作製することを目的とし。検出系を確立することを目指す。さらにそのタンパク質は石灰化の関与するものであることが望ましい。そこではじめにC. matruchotiiの膜タンパクの抽出を試みた。様々な界面活性剤から膜タンパクの抽出に適切な界面活性剤をスクリーニングを行った。その結果、多くの界面活性剤が沈殿を形成し。タンパク質が抽出されなかった中でTriton-100とEDTを組み合わせることによって膜タンパクの抽出に成功した。さらに予備実験ではあるが、これら膜タンパクのうち、ハイドロオキシアパタイトに結合するフラクションを見いだした。今後さらにタンパクの精製を進め、モノクロナール抗体の作製を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C. matruchotii膜タンパク質の調整に成功しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
C. matruchotiiの膜タンパク質の精製をより高度に精製を行う。クロマトグラフィーにおいて種々のカラムおよび担体を用いて石灰化活性のあるタンパク質の単離を目指す。さらに確認のための電気泳動を行い、タンパク質の分離精度の確認を行う。石灰化活性の確認のために、小規模で石灰化の活性を確認する系を樹立する。このためにはFlow cellなどの少量の媒体でかつ媒体に流動性のある系を樹立する。さらに石灰化活性の確認のために電子顕微鏡、位相差顕微鏡を用いて石灰化の確認を行う系を樹立する。以上の確認のもとに、石灰化活性のあるC.matruchotiiの膜タンパク質を用いて抗体の作製を行う。この抗体の作製により疫学調査が可能になる。当該研究費が生じたのは、膜タンパクの精製には多くの培養用の試薬、精製のためのゲル、分離の確認のための電気泳動用の試薬が必要となるが、膜タンパクの分離精製が順調に進行し、予想外に培養、分離、精製のための試薬代が節約できたためである。平成24年度の試薬代に回す予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
C. matruchotiiの膜タンパク質の精製を行うためにクロマトグラフィー用の種々のカラムおよび担体を購入する必要がある。タンパク質の分離精度の確認のための電気泳動用の試薬、消耗品が必要となる。石灰化活性の確認する系を樹立のためにはFlow cell、DNA破砕のための超音波破砕機が必要となる。石灰化活性の確認のために電子顕微鏡、走査電子顕微鏡は鶴見大学に完備されているが、サンプル作製のための試薬が必要となる。以上の系の樹立により石灰化活性のあるC. matruchotiiの膜タンパク質が精製が本年度中にできた場合、抗体の作製を行う。この場合は抗体作製のための受託費が必要となる。
|