研究課題/領域番号 |
23659992
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
山田 秀則 鶴見大学, 歯学部, 助教 (60240032)
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研究分担者 |
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
今井 奨 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80072958)
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キーワード | ナノバクテリア / 石灰化 / 口腔細菌 |
研究概要 |
グラム陽性桿菌の一種であるCorynebacterium matruchotii( C. matruchotii) はcom-cobの形成において、central filamentとしての役割をはたしている。C. matruchotiiは口腔内に生息し、過飽和のカルシウムが存在する口腔内において、リポタンパク質を沈着させ、ハイドロオキシアパタイトの核を成長させるとされている。本研究課題において疫学調査を行うためには口腔内からC. matruchotiiの検出方法の確立が必須となる。しかし、現在のところC. matruchotii特異的な検出方法は確立されていない。細菌の検出方法としては、16S Ribosomal RNAのシーケンスによる方法が確実な方法であるが、疫学調査でこの方法を用いるとコストがかかりすぎてしまう。そこで本研究課題において、C. matruchotiiの膜タンパクを抽出しC. matruchotii特異的なタンパク質からモノクロナール抗体を作製することを目的とし、検出系を確立することを目指す。前年度において様々な界面活性剤から膜タンパクの抽出に適切な界面活性剤をスクリーニングを行った。その結果、多くの界面活性剤が沈殿を形成し、タンパク質が抽出されなかった中でTriton-100とEDTAを組み合わせることによって膜タンパクの抽出に成功した。本年度はさらにタンパク抽出法を改良し、尿素、チオ尿素を含むタンパク抽出液により、さらに効率よくタンパク質を抽出する方法の確立に成功した。これら膜タンパクのうち、ハイドロオキシアパタイトに結合するフラクションを見い出し、これらの石灰化を確認するためのFlow cellによる石灰化物観察の系の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Corynebacterium matruchotiiの培養にはその増殖速度が遅いため、培養には1週間程度の時間が必要である。タンパク質の中でも膜タンパクの抽出は困難を伴うことが多く、Corynebacterium matruchotiiの膜タンパクを効率よく抽出することが最も大きな課題である。今年度、までにその抽出方法を向上し、より効率の良い膜タンパクの抽出法法が可能となった。タンパク質の分離においても様々なカラムの条件検討が必要である。さらに、石灰化物を観察するためのFlow cellの系ではその緩衝液の組成、濃度、時間等の様々な因子の検討が必要である。また一回、一回の実験にかかる時間が1日から一週間を要するため、これらの条件検討には膨大な時間と労力が必要である。昨年度までに以上の条件検討がかなりのレベルまで向上したため、おおむね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、抽出、分離に成功しているCorynebacterium matruchotiiのタンパクをさらに精度よく分離を行い、最も石灰化能の高いタンパクの単離とその抗体の作製を目指す。膜タンパクの単離のためには今後もさらにクロマトグラフィー用の担体の選択、緩衝液の種類、pH、溶出液の濃度、pH等をはじめとする、多くの液体クロマトグラフィーの条件検討が必要である。さらに抗体作製のためには、タンパク質のアミノ酸シーケンス、質量分析、が必要である。シーケンス後は、効率の良い発現系ベクターの選択、宿主を選択し、発現系を確立する。その後発現させたリコンビナントタンパクを用いてFlow cellによる石灰化をはじめとする生物活性を確認後にモノクロナール抗体もしくはポリクロナール抗体の作製を試みる。以上の過程によって作製した抗体を用いて、Corynebacterium matruchotiiに対する反応性、現在我々の実験室で所有している他の菌株に対する交差反応性を確認する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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