研究概要 |
原子力災害発生時においては放射線による汚染の有無を判定するためにGMサーベイメータを用いて測定するが、特徴的なアラーム音が生じる。また、検査者は放射線防御の立場から防護服等を着用する。そのために被検査者は強い緊張と不安を感じる。この点に着目してGMサーベイメータのアラーム音が人間の心理状態に与える影響を明らかにした。 H大学の学生で協力の得られた178名を対象とし、GMサーベイメータ200cpmと2,000cpm、比較対照としてブザー断続音、ピューピュー音の合計4種類を提示した。データに欠損値のない150名を分析した結果は以下の通りである。 防護服を着用した検査者の有無に関わらず、不安・緊張の強度はピューピュー音>ブザー断続音>GM2,000cpm>GM200cpmの順であった。防護服着用により不安・緊張感が増強したのはGM200cpmとGM2,000cpmであった。GM200cpmとGM2,000cpmに対するイメージは、ブザー断続音とピューピュー音に比較し、全体的にネガティブなイメージは少なかった。GM200cpmはややかたく、鋭く、金属性で甲高いイメージがあった。GM2,000cpmはやや澄んだ金属性のイメージがあった。防具服着用によりGM200cpmは汚く、濁って、不快な、迫力のある、好ましくないイメージがやや増強した。GM2,000cpmは強く、迫力があり、好ましくないイメージがやや強くなった。 以上のことからGMサーベイメータのアラーム音はブザー音、ピューピュー音よりも不安・緊張感は強くないものの、防護服を着用すると不安・緊張感が増強し、ネガティブなイメージに変化することが明らかとなった。したがって、放射性物質による汚染の有無を測定する際にはこれらの点を考慮する必要がある。
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