研究課題/領域番号 |
23659996
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐伯 由香 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70211927)
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研究分担者 |
菅田 勝也 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20143422)
長井 聡子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10420704)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | かゆみ / 無髄性C線維 / 知覚電流閾値 |
研究概要 |
本研究の目的はかゆみがどのような要因によって影響を受けるのか明らかにすること、またかゆみを軽減するケアの科学的根拠を明らかにすることである。かゆみは感覚神経の中でも無髄性C線維によって中枢神経系に伝えられること、また、このC線維は経皮的に5Hzの電気刺激を与えることで興奮させることができることが明らかにされている。そこで、平成23年度は無髄性C線維を特異的に興奮させるニューロメーターを使用して、5Hzで刺激を行った際の電流知覚閾値(CPT)を指標に、刺激部位を温めるあるいは冷却した際にCPTがどのように変化するか検討を行った。健康な成人女性4名を対象に前腕部を5Hzで刺激を行った場合、冷却前に15.0±10.39(×10μA)(mean±sd)であったCPTは冷却すると10.3±8.08と減少した。逆に暖めるとCPT4.0±2.65から10.3±8.08に上昇した。このことは、皮膚を冷却すると閾値が下がる、つまり敏感になることを示している。逆に温めると閾値が上がり、このことは刺激に対して感覚が鈍くなっていることを示している。最初の予想では、かゆみがある場合、患部を温めるより冷やすほうがその感覚が低下することから、暖めると閾値が下がり、冷却すると閾値が上昇すると考えていたが、逆の結果であった。かゆみの感覚は5Hzで興奮する無髄性C線維によって伝えられることからこのCPTを指標にしたが、C線維は痛みなど他の感覚も伝えることが知られているため、閾値レベルでは感覚の種類までは区別して興奮しているわけではない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年3月11日にあった震災の影響で、実験室のある建物が約半年間立ち入り禁止となったため、データ収集の開始時期が遅れたこと、またそれに伴い授業を行う教室の調整や法律の改正によるカリキュラムの改正に時間をとられたことなど、他の業務に時間を費やしたことなどが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚を温めたときと冷却したときの5Hz CPTの変化について、データ数を増やすことと、皮膚の乾燥度による違いを検討する予定である。しかし、大学の所属が変わったため昨年度購入した測定機器が使用できるか不明である。借りることが可能であれば1年間借りて研究を進めるが、もし借用できなければ前大学に行って実験を行うことになり、その場合は収集できるデータ数が制限される。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はデータの解析とまとめを行うため、文具、データ保存用のPCメディアなどに使用する予定である。
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