研究課題/領域番号 |
23659998
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
森 淑江 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90150846)
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研究分担者 |
辻村 弘美 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (70375541)
齋藤 恵子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (50369378)
李 孟蓉 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助教 (60412988)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 途上国 / 看護 / 家族 / 看護師 / 役割 |
研究概要 |
研究者らの先行研究では、途上国には日本と異なる看護技術が存在していることが明らかとなったが、同時に、患者の家族が医療機関内で担っている役割と看護師の役割とが日本におけるそれらと異なることが示唆された。これらを踏まえて、研究者らは途上国における家族が行う看護ケアと看護師の役割を明らかにするために平成23年度は、(1)これまでに雑誌等に公表された途上国の看護に関する文献の収拾を行い、詳細に分析するとともに、(2)アジア諸国13か国で国際看護協力活動を行ってきた青年海外協力隊看護職隊員が作成した定期報告書類から、患者家族が医療機関内で行っている活動および看護師が患者のために行っていること及び行っていないことについての記述部分を抽出し、分析を行った。さらに群馬大学医学部疫学倫理審査委員会の承認を得た後、(3)途上国の医療機関での国際看護協力を実施したことのある、又は研究その他の目的で、途上国で家族や看護師が患者のために行っている看護ケアを知る機会のあった日本人看護職者に対する面接調査を行った。分析の参考とするため、中南米での国際看護協力活動を経験した青年海外協力隊員にも面接により聞き取り調査を行い、これまでに合計7人の面接調査を行った。その結果、国によっては看護師数が日本と同等程度勤務していても、日常生活援助については家族に任せており、看護師はそれ以外の業務を中心に行っている場合があることが明らかとなった。今後さらに面接対象者を増やすことによって、これが1つの国のことであるのか、複数の国でみられる現象であるのか明確になり、各国での家族と看護師の役割の日本との共通性および相違点が明らかとなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献および青年海外協力隊員による報告書の分析、および面接結果に基づいて、現地調査の準備を始める予定であり、平成23年度の現地調査の候補国を中国として現地側と折衝していた。しかし最終的に調査予定地の省の外事部の許可がおりなかったこと、及び日中関係に関する日本人政治家の発言に中国側が敏感に反応していた時期でもあり、他に訪問許可の内諾を得ていた医療機関があったが、23年度内の渡航は中止することにした。そのため23年度に予定していた現地調査(調査の準備)が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
国際看護協力経験者らに対する面接調査を引き続き行う。現地調査については、23年度に引き続き中国側との折衝を続けるが、実現が困難な場合を想定して別の現地調査候補国を選定する。すでにラオス、インドネシアについては現地側に協力者を得られる見込みがあり、実現可能性が高い。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際看護協力経験者等に対する国内での面接調査を行う。さらに、平成23年度に使用しなかった渡航用に確保していた研究費と24年度に申請する研究費とを利用して2か国に研究者延べ5人が渡航し、患者の家族および看護師が行っている看護ケアに関する観察調査と面接調査を実施する。これまでに得られた研究成果の発表を国内の学会で行うとともに、投稿論文作成の準備をする。
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