研究課題/領域番号 |
23659999
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
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研究分担者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
長瀬 敬 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (00359613)
仲上 豪二朗 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70547827)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | フィジカルアセスメント / エコー |
研究概要 |
これまで五感に基づく熟練が必要とされる看護師のアセスメント技術の抜本的改革の一案として、エコー装置と用いた非侵襲的生体内可視化技術を体系化する。そのための具体的なアプリケーションの一つとして、誤嚥性肺炎発生の主要な原因となっている不顕性誤嚥をターゲットとし、その可視化手法および画像アセスメント技術を確立するために不顕性誤嚥患者の気管をエコー装置により描出し、不顕性誤嚥の無侵襲・リアルタイムアセスメント技術の開発研究を行った。調査協力病院のビデオ嚥下造影検査室にて、ビデオ造影検査(VF)を行う、嚥下障害の疑いがあり、研究協力の得られた患者を対象に、超音波プローブを頚部に当て、VFと超音波による動画取得を同時に行った。声帯をランドマークとすることで、気管内に流入する誤嚥物質を線状の高エコー領域として捉えることが可能であることが明らかとなった。また、より客観的なスクリーニング指標を得るために、エコー動画に対する画像解析手法の検討も行った。ゲイン、ダイナミックレンジのみ調節して撮影することを想定し、これらの値を変化させた場合に嚥下物質とその他ランドマークと成り得るものの輝度値がどのように変化するか調べた。健常人にトロミ付き水を嚥下させ、ゲインとダイナミックレンジを変化させて測定した。結果として、甲状軟骨、甲状腺ともにゲインが上昇するとそれに伴い輝度も上昇するという一定の傾向を見せていた。また、甲状軟骨、甲状腺、嚥下物質ともにダイナミックレンジの上昇とともに輝度が低下するという一定の傾向を見せていた。従って、甲状軟骨、甲状腺などが画像解析の際のリファレンスとなりうることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた不顕性誤嚥は生じた際のエコー所見の詳細な定義を、実際の不顕性誤嚥患者のデータより明確にすることができたことから、初年度の目標は達成できたと考え、概ね順調に進展していると判断した。ただし、症例数が現時点で5名であることから、初年度に得られた知見の一般性をより多くの患者にて確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた知見を基に、症例数を増やして検討する。また、より客観的なスクリーニング指標とするための画像解析にも本格的に着手し、誤嚥物質のみが明確に表示させるようなシステム開発を視野に入れて今後の研究を推進する。当研究室の協力講座の工学系教員と連携することで、実行可能性を高める体制の構築をすでに終えている。それらが達せられた場合に、本手法を用いた介入研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は超音波診断装置の適応性を検討するため、研究室が所有していた超音波診断装置を用いて画像を取得していた。従って、当初予定していた超音波診断装置の購入が不要となったために、当該研究費が生じた。次年度は、より多くの症例数を確保するため、調査協力施設への出張を初年度よりも頻繁に行う必要があり、その旅費に多くの費用が必要となる。また、プローブと頚部との間の接触をよりスムーズに行わせるためのアタッチメント用ゲルを特注で発注しており、その費用負担も生じる予定である。
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