研究課題/領域番号 |
23659999
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
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研究分担者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
長瀬 敬 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00359613)
仲上 豪二朗 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70547827)
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キーワード | 超音波画像装置 / 画像処理 / 不顕性誤嚥 / 嚥下造影検査 / 嚥下内視鏡検査 / 感度 / 特異度 / フィジカルアセスメント |
研究概要 |
本研究の目的は画像処理を利用したBモード超音波検査法による不顕性誤嚥の検出方法を開発し、看護師が行うフィジカルアセスメントに超音波検査法を浸透させるためのプラットフォームを形成することである。申請課題において超音波画像装置を用いることで、誤嚥患者が食物または飲料水を嚥下中にリアルタイムに声帯付近の気管を可視化し、誤嚥物質の流入を可視化することに成功した。さらに、画像処理技術を適用することでその判断をより容易にする技術も確立した。その性能評価をするためリハビリテーション病院に通院または入院中の17名の嚥下障害患者に対して、超音波画像装置および誤嚥診断のゴールドスタンダードである嚥下造影検査(VF)または嚥下内視鏡検査(VE)を同時に施行し、感度・特異度を算出した。超音波画像上の誤嚥物質は、声帯を超えた気管璧よりも内側で周囲組織とは異なる動きのある細長い高輝度エコー所見と定義し、その有無により誤嚥を判定した。まず画像処理を施さない状態で評価したところ、42件の施行において感度は0.64、特異度は0.84であった。そこで画像処理技術を適用したうえで評価したところ、感度は0.82、特異度は0.81となり、良好な結果を得た。 本研究は特別な検査装置や被曝、被験者の苦痛などを伴うVFやVEの前段階の検査としての超音波検査の有用性を提示した初めての研究である。特に不顕性誤嚥は自覚症状がないため多角的にその有無を判断することは困難であり、非侵襲的かつリアルタイムに行える手法を提案できた点は意義深い。さらに看護師がフィジカルアセスメントを行うための簡便なツールとして超音波画像装置を位置づけ、そこに画像処理技術を導入することで読影を容易にする技術的基盤を提供することができた。本研究は看護師による次世代のフィジカルアセスメントの在り方を提言する上での重要な挑戦的課題であり、その目的は達せられた。
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