研究課題/領域番号 |
23660000
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅田 勝也 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20143422)
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研究分担者 |
大西 麻未 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10451767)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 評価 / 看護管理 / 人材育成 |
研究概要 |
看護サービスの場において評価が必要な領域を明らかにするために、看護管理者を対象としたフォーカスグループインタビューを6回、個別インタビューを4回実施し、看護師長11名、看護部長・副看護部長11名の参加を得た。看護サービスの場で行われている評価の現状として、有害事象の発生率や在院日数など数値で評価可能な側面の質の評価に重点が置かれているが、データ収集の仕組みや人材の充足などの施設背景によって、実際の取組み状況の差異は大きいことが明らかになった。 安全管理、職員教育などの領域の評価ツールが充実している一方で、不足している領域として患者の視点からの看護の評価、看護計画の展開やその結果などの個別のケアプロセスの評価があげられた。患者の視点からの看護の評価については、満足度の調査やクレーム管理だけでなく、治療・看護への理解や権利の保護など、現在の患者のニーズに応じて新しい側面の評価を考えていく必要があり、ケアプロセスの評価では、看護記録が充分に活用されていないなど、評価方法を工夫していく必要性があることが明らかになった。また、施設内でのケアの質の評価が充実していても、在院日数が短縮化する中で長期的な視点での患者の変化について評価できておらず、退院支援や在宅医療との連携、外来での患者の状態などの評価が今後必要とされている。 また、看護サービスの場で評価を行う人材に求められる能力は、データ収集・分析能力、管理能力、データの意味を伝えていくという観点からのコミュニケーション能力などであり、さらに、データの妥当性や意味を解釈するためには、現場の背景を理解できるだけの知識や経験が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的は、看護において科学的評価が必要な領域を体系的に把握し、それに基づいて評価に関する専門的知識と技術を有す人材を育成するためのプログラムを作成・施行することであり、平成23年度は、科学的評価が必要な領域の把握を目的として、グループインタビュー及びデルファイ法による質問紙調査を実施する予定であった。進捗状況としては、インタビュー対象者のリクルートや実施日の調整に時間を要したため、グループインタビューによって科学的評価が必要な領域をあげる段階までは進んでいるが、デルファイ法の実施にまで至っていない。年度ごとの研究実施計画からみると、やや遅れが生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
デルファイ調査のためのリスト作成を早期に実施するとともに、調査開始時期によって調査回数を調整する。また、可能であれば、デルファイ調査と同時進行で実態調査を行い、当初の計画に近づける。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額として繰り越すのは、デルファイ調査実施のための印刷・郵送に使用予定であった経費である。これを使用するとともに、必須教育要素を特定するための個別の意見聴取、プログラム試案作成のための指導・助言の謝金として用いる。また、学術集会等で発表し、広く意見を集めるための経費とする。
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