前年度までのグループインタビューやデルファイ調査および文献や学会等で得た情報をもとに、評価に関する専門的知識と技術を有す人材を育成するための、90分×16コマ相当の研修プログラムを作成した。プログラム内容は、評価活動の意義や基本構造などの評価学に基づく基本的知識の講義に加え、目的ごとの評価の方法や、看護サービスの評価に用いることのできる指標について、受講者の業務上の課題から検討し議論する演習を組み合わせたものとした。2施設の看護師長を除くリーダーレベル以上の看護師10名を受講者として募り、作成した研修プログラムを試行した。 研修プログラムの効果については、受講者からの評価および受講者の所属施設における看護サービスの質評価によって検討した。受講者からの評価としては、内容の理解度、満足度、実務における有用性などについて質問紙で回答を得た。新しい知識やスキルが身についたと思う人は6名、学んだことは仕事に役に立つと思う人は5名だったが、自分自身の仕事に応用できそうだと思う人は3名であった。この3質問項目のいずれも、残りはどちらとも言えないという回答だった。続けてフリーディスカッションを行って統合した結果、今後、実例を充実させて改良を図る必要があるが、看護における人材育成として有用なプログラムとなりえることが示唆された。 看護サービスの質評価については既存の質問紙を用いて、研修プログラムの実施前後に調査し比較をすることとした。実施前の調査を受講者の所属施設の4病棟の看護職員99名および入院患者191名を対象に、実施した。実施後の評価は研修プログラム終了後6か月以上経た後に実施という計画であり、前後の違いはその調査の終了後に分析する予定である。
|