研究課題/領域番号 |
23660001
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
齋藤 やよい 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (40242200)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 看護技術 / フットケア / ADL / 高齢者 |
研究概要 |
本研究は、誰もが経験する一般的な足の問題に対して、日常生活援助や保健指導などの基本的な看護援助が、足の健康を守る技術として有用であることの検証を目的に実施した。 第1段階は、関東地方A県の介護老人福祉施設(100床)の利用者32名を対象に実態を調査した。対象者は認知症や意識レベルの低下がなく、自己判断ができ、コミュニケーションに支障がない利用者で、かつ、歩行可能な利用者とした。なお、足潰瘍や足壊疽がある利用者、足部疾患より何らかの治療を受けている利用者、通常のケア(足を洗う、伸びた爪を爪を切る)が不適切と判断される利用者は除外した。 対象者の属性は女性25名、男性7名、年齢は80.8±7.7 (mean±SD)歳であった。足の保清方法は入浴が31名であったが、13名は趾間を洗っていなかった。保清頻度は週2回18名、毎日7名であった。爪切りの実施者は自分が20名であったが、その中には爪が見えにくく爪切りに力が入らない者もいた。日常履いている靴のタイプは介護靴が20名であった。足の形状は1趾が最も長いエジプト型が25名、足部の変形では外反母趾12名、扁平足14名、開張足14名と多くみられた。皮膚の状態としては、角化27名、乾燥25名、浸軟22名、表皮剥離22名に認められた。また、足に関する自覚症状では、冷感、歩くのがつらいなどがあったが、個人差が大きかった。 第2段階は、第一段階の対象者を2群に分け、ケア方法の違いによる比較研究を実施した。介入群には、研究者によるフットケア((1)足の観察、(2)足を洗う、(3)皮膚の保湿、(4)適切な爪切り、(5)足の健康に関する保健指導)を週5日/実施した。対照群には、利用者によるセルフケア、または家族によるケアとし、ケア内容は介護記録または利用者より聴取した。介入期間は8週間とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケア方法の違いによる比較研究の当初計画では50名の実施を予定していたが、各週5回を8週間連続して参加できる高齢者を対象とすることは難しく、最終的に32名となった。また介入者の確保のために、延べ4か月の予定実施期間は、実際には9か月に延長し、実施後の追跡が年度内に完了しなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き32名の介入実施後6か月の追跡調査を行い、対象者を確保する。対象者はケア方法の違いによる比較を介入群と対照群に分けて、全体の解析を行う。追跡は効果判定に重要であるため、脱落者が最小となるよう、調査期間に余裕を持たせて実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.ケア方法の違いによる効果判定看護技術提供によるケア効果判定を複数の専門的立場から行うために、研究者2名の他に協力への同意が得られた皮膚・排せつケア認定看護師2名、皮膚科医師1名、整形外科医師1名、内科医師1名、介護士3名との合同評価会を計画し、対象ごとに効果判定を行う。判定は対象者の自覚症状による主観評価と写真判定、運動機能等の測定値など客観評価を合わせた総合評価とする。2.アセスメントツールの検討判定結果をもとに足の健康を守る看護技術(足育)のためのアセスメントツールを作成する。3.成果の公表本研究の総括として論文を作成し、ホームページおよび学術論文に発表する。
|