研究課題/領域番号 |
23660002
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
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研究分担者 |
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 褥瘡予防 / 寝床内環境 / 実態調査 |
研究概要 |
背景:褥瘡は骨突出部への圧迫による皮下組織の血流障害と脆弱な組織耐久性が引き起こす病態である。患者の汗や尿により、皮膚温・湿潤度が上昇し、皮膚の脆弱化を招くことが推測され、近年寝床内環境との関連が注目されている。本研究は、寝床内環境と褥瘡および皮膚表面変化発生の関係を明らかにすることを目的とした。方法:前向きコホート研究。インドネシアの354床の一般病院に入院した患者を対象とした。方法は対象者の皮膚の直接観察と皮膚の測定を行い、皮膚の測定はmicroclimateとして皮膚温と皮膚湿潤度とし、仙骨部および臍下部(対照部位)にて実施した。測定項目は、環境要因、基本属性、診療情報、Braden Scale(BS)、バイタルサインであった。分析は、記述統計の後、皮膚変化の有無別による単変量解析と多変量解析・ロジスティック回帰分析を行った。結果:分析対象者は71名、皮膚変化は20名、23個発生した。皮膚変化はCategory II褥瘡が最も多く、全て部分層損傷であった。最も多い部位は仙骨下部であった。単変量解析では性別とBSに有意差があり、発生群に女性が多く、BSが低かった。ロジスティック回帰分析の結果、皮膚変化に影響を及ぼす項目は、BSとシーツの種類となった。考察・結論:発生した皮膚変化は全て部分層損傷であり、発生部位は仙骨下部が多かった。これらの皮膚変化発生に影響した要因はBSとシーツの種類については、BSは褥瘡発生予測スケールとして妥当な結果であった。シーツの種類では合成繊維シーツ使用が綿シーツ使用より発生率を10分の1にするという結果であった。リネンにより、寝床内環境をコントロールし、皮膚変化発生を減少できる可能性が示唆された。すなわち寝床内環境が発生に関与し、「皮膚温の差」は発生予測に有用と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
褥瘡発生に最も関与する寝床内環境変数(皮膚温、皮膚水分量、皮膚pH)の抽出とカットオフ値の算出が目的であった。今回の前向き調査研究から、皮膚温(圧迫面と非圧迫面の皮膚温度差)が変数として抽出された。また、リネンの種類にって管理可能であるとの示唆も得た。
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今後の研究の推進方策 |
実態調査で明らかになったリネンについて、その温度特性、透湿性について基礎データを得る。
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次年度の研究費の使用計画 |
665,526円については、寝床内環境変数測定機器購入予定であったが実態調査測定環境(高温多湿)に耐えうるセンサーの選定を期間内にできなかった。基礎実験に関する必要機材および消耗品の購入、研究打ち合わせ旅費、等に使用予定である。
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