研究課題/領域番号 |
23660012
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
木森 佳子 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (30571476)
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研究分担者 |
川島 和代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (40157855)
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 末梢静脈穿刺 |
研究概要 |
本研究の目的は危険性が高く、技術難度の高い医行為の一つである末梢静脈カテーテル留置法を安全・確実に実施するために目視困難静脈を可視化する機器開発である。静脈を可視化する機器はいくつかあるが、我々は、臨床で重要視される安全性・実用性に配慮した機器の開発を目指す。このためには1.目視困難対象静脈の可視化、2.可視化静脈の深さ表現の可視化が臨床に求められる静脈像の性能といえる。開発過程として先ずは安全性、実用性を示す静脈像の獲得が何よりも優先される。 具体的に、平成23年度は(1)深さ7mmまでの静脈を可視化する試作器を作成する、(2)深さ3-7mmの静脈における波長依存性を明らかにする、(3)特定波長における静脈深度と周囲組織のコントラスト値の変化を明らかにすることである。 (1)について特定の近赤外光を使用した静脈撮像装置を、その材料の最適値を検討しながら選択、設置した。この装置について、目視困難静脈モデルを用いた可視化率を既存機器と比較した。 (2)については、(1)の装置を利用し複数のピーク波長の異なる光を用い、どの深さの静脈を可視化するのか主観的に評価した。 (3)は試作器が獲得した静脈像について、静脈の深さによってコントラスト値が変化するのか検討した。 現在、(1)について目視困難静脈モデルにおける可視化率を試作機(83.3%)と既存機器(43.3%)を比較し、有意に試作機が既存機器より高いということがわかった。だが、臨床からみて可視化率はまだ不十分とみなされる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画である、(1)深さ7mmまでの静脈を可視化する試作器を作成する、(2)深さ3-7mmの静脈における波長依存性を明らかにする、(3)特定波長における静脈深度と周囲組織のコントラスト値の変化を明らかにする、について(2)と(3)は深さ7mmの静脈が可視化されていることが必要条件となってくる。しかし、可視化率は既存機器と比較し高いとはいえ、深層静脈の可視化については課題が残った。具体的には可視化したい深さ範囲3-7mmのうち5-7mmである。この深層静脈が可視化できなければ、(2)と(3)が目指す、深さ表現の基礎データとして不十分である。この理由として、深層静脈の可視化に必要な光量(強さ)、フィルターの使用、角度について最適値の検討されていないことが挙げられる。 これまでの実験より平成24年度の研究計画の一つである、深さ3-7mmの静脈の可視性臨床評価についてその一部と方法論については確立しているため概ね順調に伸展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在の課題は、深層静脈(深さ5-7mm)の目視困難静脈の可視化である。これに対する方策を立てるとともに、現在の完成度でどこまで臨床適応があるのか検討、評価する予定である。つまり、技術難度が最も高い留置カテーテル用末梢静脈を対象としていたが、採血法で対象となる静脈では十分な性能を持ち合わせているかもしれない。採血法も目視困難な静脈の場合、穿刺成功率や合併症の発生に影響を及ぼすため、経験をあまり持たない実施者や目視困難な静脈の患者にとっては医療ニーズがあると考える。今後臨床で評価する予定である。 最終的なゴールである留置カテーテル用末梢静脈を可視化するための機器については今後、光量、フィルターの使用、照明角度などについて試用・検討する。また、スーパーバイズを受けながら試作機の完成度向上を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の具体的な研究活動は、1.現在得られたデータについて第51回日本生体医工学大会 オーガナイズドセッションで発表予定がある。2.これまでのデータにおける論文投稿、3.試作機器の臨床評価、4.深層静脈可視化に向けた試作機器の改善、5.スーパーバイズの獲得である。これにかかる費用に研究費を使用する。この活動、評価をもって平成24年度の研究計画(4)深さ3-7mmの静脈の可視性評価、(5)深さ表示が可能な画像処理ソフトの開発が達成される。
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