平成22年の年間平均在院日数は,一般病床で全国平均18.2日,最も短い神奈川県は,15.5日となった。手術を受ける患者であっても,入院から手術までの日数は1~2日が多く,手術についての説明は外来で実施されることが多い。胃がんは消化器のがんでは,罹患率が高く,胃切除術を受ける患者も多い。胃切除術を受けた患者は,術後,小胃症状やダンピング症候群などの胃切除後症候群を予防し,適切な食事摂取方法を身につけることが必要となる。そこで,胃切除術を受ける患者の入院前の看護を提供している外来看護師と入院後の看護を提供している病棟の看護師を対象に,どのような術前患者準備教育が必要かを明らかにする目的で,半構造化面接法による質的研究を実施した。対象施設は,消化器外科外来と入院病棟をもつ400床以上の病院で,4年以上の看護師経験をもち,消化器外科外来および病棟で1年以上勤務している看護師とした。インタビューの内容は、壮年期の胃切除術を受ける患者に対して,術前から食生活のセルフケアに対する準備教育をすることについて,外来でどのような教育を受けていると食事を開始するときに役立つか,それはどのような方法で教育するとよいと考えるかである。胃切除術を受ける患者であっても,手術後の食事についての具体的イメージを持っていないこと,入院中のスケジュールは示されても,患者は何を身に着けなければならないかを理解していないことがわかった。胃の働きや胃切除術についての一般的な内容や具体的な食事内容などについてのパンフレットを外来時から使用すること。本人にしかわからない自覚症状の対処方法を身に着けられるように,患者の症状をきき,アドバイスすることが有用であることが示された。そこで,病院ごとのクリニカルパス食事内容を反映した学習支援ツールを作成している。
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