研究課題/領域番号 |
23660020
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
関川 伸哉 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (60326717)
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研究分担者 |
勝平 純司 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (00383117)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 疑似体験用具 / 高齢者 / 動作分析 |
研究概要 |
疑似体験用具は,各種専修学校や大学などの教育機関における利用者理解,社会福祉関係機関による身体障害者の市民啓蒙活動など国内外において幅広く使用されている.しかし,我々の調査結果によれば現状の疑似体験用具は,高齢者や身体障害者に関する適切な体験を習得することが不可能であり,誤った利用者理解へつながる可能性がある.本研究では,高齢者に関する動作分析データ(客観的根拠)をもとに従来の静的な機能とは異なる,動的要素を含んだ新たな疑似体験用具の開発を行うことを目的としている.平成23年度は,高齢に伴う身体機能の変化を,筋,骨,関節,中枢神経(主に小脳)に分けて文献調査を実施した.また,静止立位時及び移動動作に関する調査・計測を行い,高齢者の静的アライメント変化及び動作特性について検討を行った.その結果,高齢者の立位姿勢の多くは,骨盤後傾,体幹前屈(前傾)位となる.動作時(歩行時)は,体幹が前屈し下肢は屈曲位となり,股関節の可動域(屈曲・伸展角共)が減少することにより,歩幅が減少し歩行速度(トータルパフォーマンス)が低下する.疑似体験用具に附加する要素として,骨盤後傾と体幹の前屈は外せない.理由は,過去(一部,現在進行中を含む)の計測と文献を考慮すると,高齢者の特徴は,骨盤の後傾と体幹の前屈が生じる事によって,様々な影響を受けている.骨盤の後傾と体幹の前屈により骨盤遠位の重心が前方移動するため,下肢を屈曲させて重心を支持基底面内に移動させる.下肢については,3つの関節が連動しているため,本来は全ての関節について検討する必要がある.しかし,疑似体験用具が複雑となるため初期段階では,1つの関節を対象とする.現在は,初期試作用具の機能仕様を確定し,製作を開始した(5月中旬に完成予定).完成後に評価を行い,改良をはかる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画の「高齢者の移動動作に関する調査と計測」が概ね終了している.また,本研究の疑似体験用具に必要な(求められる)要素が確定している点を考慮し,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の調査・計測結果をもとに初期試作用の疑似体験用具の開発を行う.年度内に改良を重ね,疑似体験用具装着により高齢者の立位姿勢及び歩行の実現を目指す.本研究で開発する疑似体験用具は,既存の用具とは明らかに異なる特徴がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
疑似体験用具開発(年度内3回を予定)の為の外部委託費及び評価に要する費用が主な研究費と予測される.
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