研究課題/領域番号 |
23660020
|
研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
関川 伸哉 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (60326717)
|
研究分担者 |
勝平 純司 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (00383117)
|
キーワード | 疑似体験用具 / 高齢者 / 動作分析 |
研究概要 |
本研究では,高齢に伴う身体機能の変化を明らかにしたうえで,従来の疑似体験用具の問題点を踏まえた新たな疑似体験用具の開発を行うことを目的とする.尚,本研究では,高齢に伴う身体アライメントの変化に着目し,疑似体験用具装着者が,高齢者の運動機能の変化を実態に即した形で体験でき,かつ装着の再現性・容易性を実現した用具の開発を目指すものとする.本研究では,①高齢に伴う身体アライメントの変化が動作に及ぼす影響について明らかにした後,②疑似体験用具の開発・評価・改良を行い,③開発用具のフィールド評価を実施する.現段階では,①及び②まで実施した. 動作分析の結果から高齢者に伴うアライメントの変化は,骨盤の後傾,腰椎前弯の減少,胸椎後彎(体験前屈),股・膝・足関節屈曲位となる.すなわち,体幹のアライメントが変形し,下肢が屈曲位となる.上記結果を踏まえて,疑似体験用具の初号機の開発・評価を行った.開発初号機装着時は,全ての下肢関節が屈曲もしくは後傾しており,高齢者立位時アライメントに類似していた.一歩行周期を通して健常歩行時の骨盤前傾角度(-13±5度)の範囲(上下の破線)外を維持していた.股関節伸展及び足関節底屈が制限されたことにより,ストライド長が開発初号機非装着時1.330[m]から装着時には,0.654[m]と大幅に低下した.また,ストライド長が短くなったことにより,歩行速度が開発初号機非装着時1.226[m/s]から装着時には,0.532[m/s]と低下した. 昨年度までの研究をまとめると,高齢に伴う運動機能の変化を実態に即した形で体験できる疑似体験用具初号機の開発・評価を行った.装着時間は30秒程度と大幅に短縮できた.現在は,開発初号機の課題を整理し,2号機の開発・評価を実施している.今後は同様の評価に加え,フィールド評価を実施し臨床使用に向けての課題を明確にしていきたい.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の調査・計測が終了し,平成24年度には疑似体験用具初号機の開発評価を行った.評価結果より高齢者アライメントを概ね疑似できており,従来の疑似体験用具の問題点を大幅に改善することができた.また,現在は2号機の評価を実施している点を考慮し,おおむね順調に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
開発2号機の課題をもとに2.5号機の開発を行う.2.5号機では必要とされる機能の集約をはかると共にフィールド評価を実施する事により,臨床での使用を検討する.3号機では,デザインの改良をはかり,装着性の容易さと機能面の双方の改良を行い,機能造形の視点から開発を進める.また,タブレット端末の導入を併せて検討する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
疑似体験用具3号機(最終機器)開発の為のデザインに関する外部委託費及び評価に要する費用が主な研究費と予測される.また,タブレット端末導入の可能性を検討する上での経費を必要とする.以下に示す年内2回の学会発表を予定している. ・第20回日本義肢装具士協会学術大会(沖縄) ・第29回日本義肢装具学会(大分)
|