【目的】メタファを用いた言葉かけが看護技術の動作習得に有効であるかを明らかにすることを目的とした。 【方法】看護大学4年生12名に「吸引時のカテーテル挿入」と「翼状針を使用した採血」の映像を見せ,①10分間の自己練習後と,②「吸引カテーテルは鉛筆を持つように持ち,鉛筆立に鉛筆を入れるように鼻孔に挿入」「翼状針は英語ではbutterfly needleといい,羽を蝶やトンボをつまんで捕るように持って刺入し羽を用いて固定」というメタファを用いた言葉かけ後,10分間練習させた後撮影,対照1名は②のみ撮影し終了後、感想を聞いた。研究者所属大学研究倫理審査委員会の承認(受理番号191)後実施,動作分析ソフト(ダートフィッシュ6.0)を使用し比較した。 【結果】メタファを用いた言葉かけ後は動作停止がなく所要時間は平均1秒差があった。吸引は始めカテーテルが鼻甲介にあたっていたが,真下に向け停滞なく挿入に変化した。採血は翼状針を正しく把持して刺入できるようになった。感想は,「吸引は怖かったが,いつも使う鉛筆で教えてもらい安心できた」「翼状針を蝶やトンボの羽をつまむように持つのはイメージできわかりやすかった」であった。 【考察】メタファを用いて既に身についている行動を活用すると,動作がイメージしやすく実際の動作と同様な準知覚的経験が生じ,実施する動作を自身の経験と結び付けて行動できることが考えられ,新しい動作を技能として習得する一助となり,今後の技能習得や看護ケアの質の向上につながる可能性が示唆された。しかし,自己練習後メタファを用いた言葉かけを行っており,照も1例でメタファの効果と練習量による成果の判別はできなかった。今後,条件を整えた検証が必要である。 【結論】「吸引時のカテーテル挿入」および「翼状針を使用した採血」において,メタファを用いた言葉かけは看護技術の動作習得に有効であると推察された。
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