研究課題/領域番号 |
23660031
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩永 和代 福岡大学, 医学部, 講師 (40461537)
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研究分担者 |
石橋 曜子 福岡大学, 医学部, 助手 (70469386)
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キーワード | におい / オープンスペース / 抗菌・消臭リネン |
研究概要 |
集中治療を受ける患者の療養するオープンスペースにおけるにおいの実態を明らかにするために、看護師へのにおいの意識調査および実際の病室内のにおいの強度を明らかにする。また、においに対する看護ケアとして、実験的に抗菌・消臭効果が確認されたホタテ焼成成分とペーパー炭を混合した水溶液に浸透させたリネン類を用いた病床環境のにおいの強度により、介入効果を検証することを目的とする。 平成23年度は、におい強度測定のための予備実験を行った。看護実習室をオープンスペースの病室にみたて、経時的なにおい値を測定し、専用ソフトにて経時的変化を確認した。実習室は実際の患者が不在のため、ほとんどにおい値が変化しなかった。しかし、靴下やTシャツなど、汗や体液が付着した繊維を着用した人に測定器は反応し、におい値が変動することが確認された。 平成24年度は、福岡大学病院救命救急センターの看護師を対象として、においに関する意識調査を実施した。結果、ほとんどの看護師がクリティカルな患者の病床環境におけるにおいが問題だと感じているが、有効なケア手段をとっていない現状が明らかになった。また、実態調査として、4床の病室(オープンスペース)で、承諾が得られた患者27名のベッドサイドににおい測定器を設置し、9時から17時の間、約6時間を1分間隔で、経時的ににおい値を測定し、専用ソフトにて解析した。次に、介入調査として、同室にて、承諾が得られた患者20名に、実験的に抗菌・消臭効果が確認されたホタテ焼成成分とペーパー炭を混合した水溶液に浸透させたリネン類を使用し、ベッドサイドににおい測定器を設置し、実態調査と同様に測定した。結果、オープンスペースの病床では、常ににおいは発生していること、排泄や食事などの日常生活でにおい値が上昇することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に福岡大学病院救命救急センターで、看護師への意識調査およびオープンスペースでクリティカルな患者が入院している病床環境のにおい値の実態調査、抗菌・消臭効果が確認されたリネン類を用いての介入調査を実施した。 結果、調査への参加は、実態調査26名、介入調査20名(予定では、それぞれ20~30名)であった。平成24年11月頃までに調査を終了する予定であったが、身体・精神上の理由(意識レベル低下で調査参加への判断不可、不穏が強い、疼痛が強くリネン交換が困難など)で、調査参加の承諾を得ることが困難であった。結果、平成25年1月まで調査を実施することとなった。当初予定していた平成25年3月までに、データ解析・統計処理・考察が終了しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
看護師へのにおいの意識調査結果について、統計処理を行い考察する。また、実態調査結果、介入調査から得られたデータを、専用ソフトにて解析し、統計的に処理する。さらに予備実験過程から、実態調査、介入調査までの過程について、総合的評価を行う。これらの結果をふまえ、病床環境のにおいへの看護ケアについて考察しまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
まとめた結果について報告書を作成するために、文献を収集し、複写費用として使用する。報告書は、実験に協力していただいた福岡大学病院看護部、救命救急センター看護師へも配布するため30冊程度を印刷し、印刷費用として使用する。
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