研究課題/領域番号 |
23660033
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新井 恵美 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70178713)
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研究分担者 |
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
川口 孝泰 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40214613)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 脂肪性肝疾患 / 高齢者 / ハイブリッド訓練 / 代謝機能 |
研究概要 |
高齢者では、日常生活において継続的な運動が困難な場面に数多く直面し、腰痛症や膝関節症による歩行運動の制限等の問題が生じており、効率的な訓練法の開発が必要とされている。また、特定健診が始まってからは肝機能異常が多数発見され、脂肪性肝疾患と診断される患者が増加し、疾患を有する患者の筋肉量の低下は、エネルギー代謝の低下からさらなる病態の悪化につながる。そこで、脂肪性肝疾患を有する高齢者を対象として、電気刺激による筋収縮と自発筋収縮の混合運動であるハイブリッド訓練法(Hybrid訓練法)を構築し、骨格筋量の維持を図り、体力水準低下の抑止と代謝機能の改善効果を検討した。 平成23年度においては、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する高齢者および虚弱高齢者を対象に体組成測定と運動習慣および食事摂取量の聞き取り、筋力測定、血液検査を行った。訓練部位の骨格筋量の評価はMRI検査を用いた。また、脂肪性肝疾患の有無を調査するため腹部超音波検査を施行した。Hybrid訓練回数は週1~3回で最長24週間とした。体重・体組成測定・筋力測定・採血は訓練開始後については1ヶ月毎に行い、評価基準を作成する。訓練部位のMRI検査、腹部超音波検査を終了後に行った。その結果,3ヶ月にわたる訓練の結果,脂肪性肝疾患を有する高齢者では,大腿部伸展筋の筋力は左右の両側において有意に増加した.一方,MRSによる骨格筋内脂肪と骨格筋外脂肪を測定した結果,訓練の結果,骨格筋内脂肪は有意に減少した.また,これに関連して,肝機能障害と耐糖能異常も一部の症例で改善が見られた. 高齢者に対するハイブリッド訓練法(Hybrid訓練法)は運動機能の増進のみならず,代謝機能の向上にも有用であると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者に対するハイブリッド訓練の有用性が確認され,骨格筋の訓練が,筋力の増強のみならず,肝機能や糖代謝にも重要な影響を与えることが判明した.重要なポイントである.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は代謝性疾患のない在宅療養高齢者を対象としてHybrid訓練を施行し、同様の評価を行なう。NAFLDを有する高齢者とNAFLDのない高齢者のHybrid訓練評価の結果から看護介入モデルを策定する。得られた研究データをもとに、学会発表ならびに論文作成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は,ハイブリッド訓練機器の電極などの消耗品の購入,臨床検査費用などに使用する.
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