研究概要 |
肥満に関連した非アルコール性脂肪性肝疾患(Non-alcoholic fatty liver disease ; NAFLD)は肝臓に脂肪が蓄積することが原因で発症し,その一部は非アルコール性脂肪性肝炎や肝硬変へと進行する慢性肝疾患である.NAFLDの治療法としては食事療法と運動療法以外に有効な治療法が見つかっていない.我々は宇宙ステーション滞在に伴う筋萎縮予防を目的に開発されたハイブリッド訓練に注目した.ハイブリッド訓練とは,筋肉の自発的収縮と電気刺激による電気的収縮の混合運動による骨格筋訓練である.NAFLD患者に対して6ヶ月間のハイブリッド訓練を施行し,その有用性について検討した.NAFLD患者におけるハイブリッド訓練は、訓練部位骨格筋の筋力増加と筋脂肪化の減少,体脂肪量の減少,さらに,肝機能障害の改善を誘導した.本訓練効果の背景には,異所性脂肪の減少,インスリン抵抗性の改善,酸化ストレスレベルの低下などが推測された.ハイブリッド訓練はNAFLDに対する新しい運動療法として有用であると考えられた。
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