研究課題/領域番号 |
23660040
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
古川 文子 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (70342342)
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キーワード | 循環器疾患 / せん断応力 / マットレスパット / 素材復元力 |
研究概要 |
心機能低下、末梢循環障害、人工臓器埋め込みで皮膚・皮下組織に起こる血流障害を緩和し、休息・睡眠時のコンフォートの向上を目指す多目的対応型マットレスパッドの開発とその評価を最終目的に、複数素材を90度軸回転して積層させた『身体マット』を用いた研究。平成24年度は本マットレスパッドの患者への適用前の事前調査として、ペースメーカ(PM)植え込み患者から、睡眠・休息時における体位選択制約に関する聞き取りを行った。【方法】1)定期受診時、担当医から患者に選定条件に基づき研究協力依頼チラシを手渡し、2)関心を示した患者から研究者に連絡、研究者は倫理上の配慮に基づき説明、文書での同意を得た。聞き取りは、原則、受診病院で実施した。【結果】60名に配布。関心を示した協力者17名(7名は時間確保が困難の為、研究協力依頼チラシに自由記載して郵送)。同意を得た10名のデータを分析。面接時間は15分~30分間。男性9名、女性1名、年齢は60代2名、70代8名、PM植え込み歴は2.5年未満0名、2.5年以上3年未満2名、3年以上5年未満2名、5年以上10年未満5名、10年以上1名。左前胸部に埋め込み10名。1)埋め込み後に主として取った体位は仰臥位5名、右側臥位5名、左側臥位0名。2)取りにくい体位は左側臥位5名、特になし2名。3)不快になる体位で特になし4名、左側臥位3名、腹臥位1名。4)安楽な体位は仰臥位4名、右側臥位3名。5)左側臥位を意識的に避けた時期は埋め込み後3~6か月間、徐々に慣れたが、現時点でも避ける傾向がある。6)4名が左側臥位時には枕の高さを工夫していた。7)日常活動時、意識的・無意識的に身体の左側には気を使っていた。【考察】埋め込み後では左側臥位を避ける傾向が強く、体位選択での制約が示唆された。また、左側臥位時には枕の高さ調節によって埋め込み部にかかる体圧を緩和していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健康成人を対象にした模擬患者での測定が予定通り実施できなかった。理由は、所属大学での倫理審査承認後、該当施設(病院)での倫理審査開催とのタイミングが合わず、承認を得るまでに時間がかかった。研究倫理審査委員会で承認されていることから、平成25年度のできるだけ早い時期に実施し、基礎データを得る。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、平成25年度に「患者を対象に臨床で測定を行う」ことになっていた。模擬患者での測定が遅れているため(患者を対象とした測定に先立ち、測定方法での安全確認のために基礎データとして、健康成人模擬患者対象の測定は必要・不可欠)、この測定を25年度の研究目標とする。なお、平成24年度での測定の遅れは、研究継続により、平成26年度には取り戻す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に次の4件に集中して使用する。1)前年度に実施できなかった模擬患者を対象とした測定対応として、一定の期間内で対象者数を確保する必要があり、このための研究測定補助者用協力費を確保。2) 試作マットレスパッドの縫製方法を撮影し視覚資料として保存。3)3年間のまとめ・発表の準備費。4)継続して行う患者対象の測定準備として、測定補助者の教育実施費の確保。
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