研究概要 |
胃がんの手術を受けた患者の多くは,手術後の機能障害に伴う複数の身体症状を長期的に抱えながら生活しており, 術後QOLに大きく影響していることが報告されている。ところが、術後の機能障害評価方法や看護支援方法は、国内外共に確立されていなかった.そのため,今回,世界初の上部消化管がん手術を受けた患者の術後機能障害評価尺度(DAUGS:Dysfunction After Upper Gastrointestinal Surgery)を約8年にわたり開発した.しかし,わが国における術後機能障害の基準値は確立されておらず,指標となるものが存在せず,基準値確立は急務の課題である。本研究では,DAUGS20を使用し,大規模調査を約3200名に郵送調査を実施し,わが国における胃がん患者の術後機能障害の基準値確立を目的に、取り組んだ。所属する大学の倫理委員会の承諾を得て、研究を推進した。胃がん患者会アルファクラブの協力を得て、会員に郵送調査を行った。回収率は、現時点で76.7%であった。今後は有効回答率等、厳密に査定し、記述統計を進め、基準値を見出す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
<調査対象> 今回のフィールドとなる患者会(アルファクラブ)において,対象者の選出基準を満たした約5000名である.対象者は,患者会に登録しているすべての者とする. <調査方法>DAUGS20(Dysfunction After Upper Gastrointestinal Surgery-20)の自記式質問票を用いて,配布・回収ともに,郵送法による調査を行う.回収は対象者数が多いため,最寄りの郵便局で料金後納のための手続きを行う。郵送法による回収率は,理論上は約60%と言われているため,料金後納制とし,通信費の経済化を図る。<調査内容>個人属性,食事回数,間食の回数,食事にかける時間,手術前の体重と現在の体重,身長,社会復帰状況,生活上の問題,術後機能障害評価尺度(DAUGS20)について質問する.尺度の評定形式は,まったくない0点,ほとんどない1点,少し2点,多少は3点,かなり4点,非常に5点の6段階評定の間隔尺度を用いる.
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