研究課題/領域番号 |
23660045
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松岡 秀明 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 招へい教授 (80364892)
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研究分担者 |
池田 光穂 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (40211718)
岩崎 紀久子 淑徳大学, 看護栄養学部, 教授 (80332930)
渡部 真奈美 豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (50341780)
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キーワード | 終末期医療 / 看護師 / 困難 / ブリコラージュ |
研究概要 |
緩和ケア病棟で看護師は日々さまざまな困難に直面しつつ患者をケアしているが、この困難についての研究はこれまであまり行なわれてこなかった。 本研究は、看護師たちが、①院患者のほとんど死亡退院となるという現実に直面するという困難、②患者がいかに安らかに亡くなるかをサポートする医療に携わるという看護師としてのアイデンティティーにかかわってくる困難、に直面することを明らかにした。 彼らは、これらの困難をブリコラージュを用いて解決していく。「ブリコラージュ」とは、文化人類学者レヴィ=ストロースが用いた概念で、臨機応変な柔軟さで手持ちの材料と道具だけを用いて特定の目的に応じたなにかをつくりあげることを意味する。これを行えるようになるためには、病棟で頻繁に行なわれているさまざまなカンファレンスが重要な役割を果たしている。なぜなら、看護師が困難への対応のしかたを身につけることは、看護師個人がマニュアル的な知識を獲得する次元ではなく、知識や技術の習得や研鑽、また新たな知識や技術の創造のために、継続的に相互交流が行なわれる緩和ケア病棟、すなわち医療従事者と患者によって形成されているひとつのコミュニティという社会的な次元、においておこることが明らかになった。 松岡と池田は、研究成果を臨床死生学会、生命倫理学会、文化人類学会等々の学会で発表し、松岡は「生、死、ブリコラージュー緩和ケアで看護師たちが直面する困難への医療人類学からのアプローチ」を、安藤泰至・高橋都編『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』(丸善出版 2012年12月刊)に執筆した。
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